ジャニス・ジョプリンの代表曲は「ムーブ・オーバー」と「ダウン・オン・ミー」だ。いずれも楽曲として完璧で、テンポの速いロックらしい名唱が聴ける。
ジャニス・ジョプリンJanis Joplin(1943~1970.10.4)。
女性ロックボーカリストの最高峰といえば、ジャニス・ジョプリンしかいない。高音で歌えることだけが優秀な歌手なのではない。ハスキーボイス、しゃがれ声ながら、高音高速で歌えるし、スローなバラードでは人生のヒダを味あわせてくれる。しっとりも歌えるハードも歌える。声の強弱に深みがある。表現力、訴求力が圧倒的である。孤高だった少女時代の人生が反映されている。祈りなんてものじゃない。魂の叫びだ。声がつぶれたのは、浪曲師なみの訓練かヘロインのせいかは分からない。
1969年あたりからリアルタイムで聴いていた。当時から名声があった。いつ知ったのかは覚えていない。ラジオの音楽番組はシングルヒットが中心だったので、ジャニス・ジョプリンがヒットチャートに登場することはなかった。それでも、ジャニス・ジョプリンの楽曲はたまに紹介されていたと思う。「サマータイム」「ボール・アンド・チェイン」「ピース・オブ・マイ・ハート」あたりか。ウエストコーストロック、サイケデリックロックのジャンルだった。
ウッドストックに出演し、日本で映画が公開されたのは1970年7月、封切で見た。
1970年10月、死亡したときの新聞も読んだ。ラジオでも年末あたりに「ムーブ・オーバー」がヒットチャートの上位に来た。シングルは発売されていなかったと思われるので、紹介とリクエスト数だったのか。この曲が日本の音楽番組でチャート上位となった唯一の曲と記憶する。ジャニス・ジョプリンの一番の曲だ。Youtubeの「ムーブ・オーバー」スタジオライブは1970年6月となっている。
1970年代後半に中古で購入したLP「ゴールド・ディスク」をよく聴いて頭の中に入れていた。「ミー・アンド・ボビー・マギー」と「サマータイム」はジャニス・ジョプリンのバージョンが一番いい。前者は全米1位となったが、日本ではヒットせず、聴いてる人は聴いているという曲だった。
ほかには「トライ」「バイ・バイ・バイビー」も良い。
名古屋シネマテイクでジャニスの高校同窓会時代のドキュメンタリー映画を見たのは1980年代後半なのだろうか。
近年はジャニス・ジョプリンについてwikiなどには関心を持たなかったが、最近見て違和感を感じた。
「ジョップリン」はありえない。「ジョプリン」だ。「ベンツが欲しい」は聴いた記憶はないし、ヒットしたこともない。当時は、ビリー・ホリディの再来と言われていた。
映画「ローズ」はテレビ地上波で少しだけ見たが、似ても似つかないので途中で消した。
結局、ジャニス・ジョプリンに匹敵するシンガーは50年たっても現れなかった。