Yes Owner of a LonelyHeart
イエス (Yes) は、イギリスのロックバンド。1969年にデビュー。代表的なアルバムに「こわれもの - Fragile (1971年)」、「危機 - Close to the Edge (1972年)」、「ロンリー・ハート - 90125(1983年)」がある。 1985年度『グラミー賞』受賞。2017年『ロックの殿堂』入り。
1970年代はプログレッシブ・ロックバンドとして、スティーブ・ハウ (ギター)やリック・ウェイクマン(キーボード)を中心に活躍した。この二人は2010年代までイエスへ加入と脱退を繰り返した。
1980年に一時的に解散状態となる。
1982年ごろ、クリス・スクワイア(ベース)とアラン・ホワイト(ドラムス)が南アフリカ出身のシンガーソングライターであるトレヴァー・ラビン(ヴォーカル、ギター)とオリジナルメンバーのトニー・ケイ(キーボード)を加えて、「シネマ」というバンドを結成し、イエスのボーカルであったトレヴァー・ホーンがプロデューサーとなって、のちに「90125」となるアルバムの制作を開始した。
より商業的でポップ的な傾向をめざし、トレヴァー・ラビンの手持ちの数曲が採用された。そのうちの1曲が「Owner of a Lonely Heart」であった。
制作中にイエスのボーカルのジョン・アンダーソンが加わったため、バンド名をイエスとして復活させた。
アルバム「90125」は1983年11月にリリ-スされ、10月にシングル・カットされた「 Owner of a Lonely Heart」はアメリカをはじめ多くの国で1位を獲得し、イエスは再結成によって最大の成功を手にした。
「90125」はポップでモダンなロックに仕上がっており、歌詞も複雑で抽象的なものではなくなっている。その象徴的な楽曲が、アルバムの日本語題にもなっている「ロンリー・ハート」である。「90125」という数字は、ただの発売当時のレコードの品番であり、深い意味はない。
メンバーは、ジョン・アンダーソン(ヴォーカル)、クリス・スクワイア(ベース)、トレヴァー・ラビン(ヴォーカル、ギター)、アラン・ホワイト(ドラムス)、トニー・ケイ(キーボード)の5人。
「Owner of a Lonely Heart」は1983年10月にリリースされ、1984年1月に米1位のヒットとなった。
この曲ではプロデューサーのトレヴァー・ホーンの存在が大きく、彼の手によるサンプリングやリバーヴの処理が曲の持ち味に貢献している。この曲は、現在のところイエス唯一の全米1位の獲得作品である。
原曲はトレヴァー・ラビンがロンドンに住んでいた1979年に制作された。その後、数年間デモテープをレコード会社に持ち込んだが奇妙なサウンドだと言われ断られ続けた。1983年1月に新アルバムを制作中のイエス(当時シネマ)に加入して、曲の採用が決まった。
トレバー・ホーンはラビンのアメリカンロック傾向の歌詩は嫌いだったが、イントロのパワフルさとメインリフへの移行へのジャンプ感と力強いサビにヒット曲への予兆を感じた。
イエスのメンバーは気が進まなかったが、ヒット曲が必要だったので、ホーンとスクワイアが曲と歌詩に修正を加えて収録することになった。
ラビンはサウンドのレベルにラウドネスを強調することを求めた。ホーンが付け加えたのは"Move yourself, you always live your life..."など歌詩全体の15%であった。
ラビンはヘビーなドラム音を望んだが、ホーンの意向でポリスのステュワート・コープランドのような音に落ち着いた。また、ジャズ・ソウルバンド「ファンク」の「Kool is Back」がドラム・ブレイダウンに使われた。
1983年4月、ジョン・アンダーソンがボーカルとして加わると、一部の歌詞を"Watch it now, the eagle in the sky"と修正した。
トレバー・ホーンはこの曲を彼の経歴の中でも最高の出来の曲の一つとしている。
イエス旧メンバーのスティーブ・ハウ (ギター)などが1982年にエイジアとしてデビューした。プログレッシブ・ロックのエッセンスをポップスとしてアレンジした楽曲を発表した。「Heat Of the Moment」が代表曲だが、イエスの「Owner ofa Lonely Heart」の方が、段違いに優れている。
プログレが流行した1972年から76年ごろは、ジャズを中心に聴いていた。ラジオでロックなどを聴いていたので、イエスも知っているが、エマーソン・レイク・パーマーと同じクラシック音楽寄りのバンドなので好みではなかった。曲も長いのでラジオで放送されることも少なかった。スティーブ・ハウ (ギター)やリック・ウェイクマン(キーボード)は人気があり、名前程度は知っていた。
1971年の代表曲「Roundabout」を聴いてみたが、スティーブ・ハウのギターは秀逸。ただ、曲の構成がまずく、前半の疾走感が途中で止められ、クラシック鑑賞の気分にさせられて興ざめしてしまった。酷評すれば、魂の抜けた無機質な音楽。