カーディガンズ(The Cardigans)はスウェーデンのポップロックバンド。
1995年ごろから数年間、日本のMTVでよくMV「カーニバル」「ラブフール」が放映されていた。せっかくケーブルテレビでMTVを見ることができるようになったのに、洋楽ロックがボン・ジョヴィ以来衰退してしまい、ラップ系が横行するなかで淋しく思っていたところに、一服の清涼剤となった。
しかし、この音楽性はなんだろう。癒し系、つぶやき系のキュートなボーカル。しかし、60年代風のアコースティックなロックサウンドとはまるで違う。バイオリンの斜に構えたメロディ、脱力系のハモンドオルガンの音。おしゃれな感覚。今まで聴いたことない異質さに脱帽した。
ボーカルのニーナ・パーションが作詞、ギターのペーター・スヴェンソンが作曲。曲調はプロデューサーのトーレ・ヨハンソンがアレンジしていったようだ。
どうしたらこのような曲調ができたのか不思議だ。スウェーデンにはジャズの愛好家が多い。ニーナは「ラブフール」をボサノヴァ調に想定したという。日本と同じくヨーロッパの吹き溜まりのような国なので、フレンチポップの要素も入っているようだ。
1995年に発売した2ndアルバム『ライフ』は、バンド初のヒットシングルとなった「カーニヴァル」(1995.4.1)などにより売上150万枚の成功。日本でも50万枚のプラチナヒットの売り上げとなったという。1996 年秋3rdアルバム『ファースト・バンド・オン・ザ・ムーン』から「ラヴフール」(1996.8.10)が映画「ロミオ+ジュリエット」のサントラで話題になりヒット、全米&全英ラジオ・チャートで1位となり、1997年アメリカにおいても成功した。
アメリカで認知される前に日本で最初にブレイクするというのはボン・ジョヴィと同じでこの頃は日本の音楽シーンも先進的だった。
それで思い出したのは、J-POPの渋谷系との関連である。
渋谷系を代表するピチカート・ファイヴが1993年4月にリリースした「スウィート・ソウル・レヴュー」は、カネボウ化粧品のCM曲となり、私も興味をもつようになった。
当時も感じていたのだが、バブルがはじけたとはいえ、経済的にアメリカを追い越す勢いのあった日本は文化的にもその勢いが継続していたのではないかと思う。
大がかりなロックが廃れかけ、クラブのような小さいスペースでの音楽が流行する時代で、その環境に適合した音楽形態が欧米や日本でも共通していたと思われるのだ。