ティアーズ・フォー・フィアーズ(Tears for Fears)はイギリスの2人組バンド。1980年代に数々のヒット曲を放った。
代表曲、「シャウト Shout」 (1984年作、1985年にヒット)、「ルール・ザ・ワールド Everybody Wants To Rule TheWorld」 (1985)。特に、後者は80年代を代表する名曲として評価が高い。
マドンナ系の音楽が席巻していたミュージックシーンにおいて、骨太のストレートなロックは新鮮だった。ベストヒットUSAでもMVは上位でヘビロテされていた。この2曲は今でも輝きは失っていない。
「シャウト」で迫力あるボーカルを聴かせたローランド・オーザバルのギターサウンドを核に、王道とも呼べる良質なブリティッシュ・ロックを聞かせるバンド・サウンド。
心理学者アーサー・ヤノフの著書「Prisoners of Pain」に登場する章題からそのまま取られている。直訳すれば「恐れのための涙」。ヤノフの提唱した心理療法である原初療法(ジョン・レノンらも受けたと伝えられる)は「恐怖や心の痛み(Pain)を心にしまわないで、子供のように声に出して叫べ(Shout)、泣け」というもの。ティアーズ・フォー・フィアーズの初期の歌詞に「Pain」「Shout」という言葉が頻出するのはそこから来ている。
サウンドはより力強くキャッチーなものとなった。1984年の12月にリリースされたシングル「シャウト」はMTVにおけるビデオ・クリップの頻繁なオンエアも手伝い、全英2位、全米1位を記録。続いて「ルール・ザ・ワールド」が全英・全米1位、「ヘッド・オーヴァー・ヒールズ」が全米3位。アルバム『シャウトSongs from the Big Chair』は世界中で1000万枚近く売れるなど、折からの第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの波にも乗り、TFFの名は世界中に知られることとなった。大々的なワールド・ツアーが行われ、来日公演(1985年7月、東京・大阪・名古屋)も実現した。
「シャウト」の作曲者オーザバルは、最初はマントラ(呪文)のようなコーラス部分から作っていった、冷戦に対する政治的プロテストだと、語っている。
「ルール・ザ・ワールド」も政治的支配がテーマで腐敗汚職を歌っている。最初の歌詞はeverybodywants to go to warであったが、アメリカ市場を考慮して変更した。シャッフルのビートを使用した。