ビリー・ジョエルBilly Joel、1949年~)は、アメリカのシンガーソングライター。ポップなメロディと、都会的なアダルト・コンテンポラリー・サウンドで、1970年代後半から1990年代前半にかけてヒットを連発した。
全世界で1億枚以上のレコード・セールスを記録し、アメリカでのレコード総売上第6位のアーティストとなっている。代表曲に、「ピアノ・マン」、「素顔のままで」、「アップタウン・ガール」、「ストレンジャー」、「オネスティ」などがある。
私は「オネスティー」(1979年)あたりから知った。しかし、ピアノ主体に歌い上げるような楽曲は好きではなかった。のちに、「ピアノ・マン」「素顔のままで」「ストレンジャー」も聴いたが、同様な曲調で興味を惹かれなかった。
MTV時代になり、1982年のアルバム「ナイロン・カーテン」の名前が聞かれ、「プレッシャー」がビルボード20位になり、次のシングル「Allentown」が1982年11月にリリースされ、ビルボード17位のヒットとなった。
名曲「Allentown」を聴いたとき、なかなかいい曲だと初めて思った。歌詞でAllentownと歌う部分の発音がいい。ペンシルベニア州の工業都市アレンタウンの衰退と貧困問題、そして、それでも同地で真面目に生きていく人々を歌った曲。MVも秀逸。トランプを勝利させたラストベルト地帯が描かれている。
アルバム「イノセント・マン」から1983年7月「Tell Her About It」リリース。軽快な曲でビルボード1位と大ヒット。ピアノマンからは想像できない曲調で、ポップセンス全開の曲で好感を持った。
名曲「Uptown Girl」1983年9月リリース。曲調は軽快。Aメロ、Bメロだけでサビはない気がする。フォーシーズンズの曲にインスパイアされたという。MVの出来がよく、モデルの身のこなし、横歩きに感心した。初めて見て1か月後に、彼女はビリー・ジョエルと付き合っているスーパーモデルのクリスティー・ブリンクリーと知る。ビリーと彼女は1985年の結婚、一女をもうけたのち、1994年離婚。うまくいかないだろうと思っていたが。
名曲「The Longest Time」は1984年3月リリース。ドゥワップ調の歌で、初期のロックンロールバンド「フランキー・ライモンとティーンネイジャーズ」のスタイルをもとにしたものという。ビルボード14位。ビルボード・アダルト・コンテンポラリー部門1位。
ビリー・ジョエルには躁鬱病的気質があるようで、1982年から1984年の躁状態のときに作った楽曲は楽しく聴けるが、それ以前の時代の作品には鬱気質が現れており、楽しく聴くことができない。
上の3曲は50・60年代に流行した音楽の焼き直しではあったが、時代は違っても好まれる曲調は継承されるものだということを痛感させられた。それを80年代風によみがえらせたのは、やはりビリー・ジョエルの豊かな音楽的才能だろう。