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滋賀県豊郷町 豊郷小学校旧校舎群 ウサギとカメのブロンズ

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豊郷小学校旧校舎群。滋賀県豊郷町。
伊藤忠兵衛記念館から旧中山道を北に2分ほど走ると、豊郷小学校に着いたが、中に入っていいのか一瞬躊躇したが、進入禁止とは書いてないので、中に入ると広大な駐車場があった。
旧小学校校舎は、現在は町立図書館や子育て支援センターなど町の複合施設として利用されており観光施設としても誰でも入場できる。開館時間は9:0017:00
 
豊郷小学校旧校舎群を初めて知ったのは、200212月に当時の町長が地裁の判断や町民の意向を無視して強行的に解体工事を開始したときで、中央部の窓ガラスが破壊される光景がニュースで放送されたときだ。ニュースを見ながら、文化財保存に理解のない政治・行政に怒りを感じたことは今でも忘れられない。
その後、町民が工事の差し止めを求めて校舎に立てこもる事態になり、町長も解体工事中止を決め、新校舎の建設をしながらも旧校舎を保存することになった。
 
その後、再び話題になったのが、2009年ごろからの「けいおん」聖地巡礼ブームで、テレビでその様子を見ることが多くなった。
 
豊郷小学校旧校舎群は、昭和121937)年に豊郷尋常高等小学校の校舎として完成し、2001年まで使用された。校舎の左側にある酬徳記念図書館、右側にある講堂を合わせて「豊郷小学校旧校舎群」とよばれている。
建築様式としては、1930年代半ばから世界的な標準となっていったインターナショナル・スタイルであり、当時の最先端の建築スタイルであった。当時としては珍しい鉄筋コンクリート3階建てで、最先端の設備を備え「東洋一の小学校」と呼ばれた。国登録有形文化財。
 
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古川鉄治郎。
豊郷小学校旧校舎群は、豊郷出身の実業家(丸紅の当時の専務)古川鉄治郎氏が敷地・建物全てを寄贈し、ヴォーリズ建築事務所により設計された。
 
当時60万円(現在の貨幣価値で数十億円に相当)という費用は、同校出身で豊郷町の伊藤忠兵衛が創業した丸紅の専務であった古川鉄治郎が「郷土に対する第一の貢献は初等教育の充実」と考え、私財の3分の2を寄付したものである。
校舎の設備には暖房設備など当時最先端の技術を惜しみなく使用して、その総工費は365,000円に上り、当時の豊郷町予算の10倍に相当するものであったという。
 
なお、初代の小学校校舎も1887年(明治20年)に当地出身の豪商・薩摩治兵衛をはじめとする有力者から寄付金を得て建設されている。
 
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階段の手摺には、イソップ寓話「兎と亀」をモチーフとしたブロンズ装飾が設置され、コツコツと頑張る象徴として校舎のシンボルになっている。
 
古川が建築家ヴォーリズに設計を依頼したとき、「私は小学生のとき、グズでのろまでいじめられっ子だったんですが、先生から童謡のウサギとカメをたとえに、誰も見ていないところでも努力してゆっくりでいいから前に進んでいきなさいと諭されたんです。その通りに努力し学校を寄付できるようになりました。」と語った。この話を聞いたヴォーリズが形にして残したのが、ブロンズのウサギとカメである。
 
ウサギがカメに競争を申し込む様子。
 
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えっちらおっちら坂を登るカメ
 
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昼寝をしているウサギを追い抜くカメ。
 
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登りきってウサギを見下ろすカメ。
 
戦時中はうさぎとかめの銅像は金属供出で持って行かれたが、戦後、現場監督を務めた神谷新一氏が費用を出して銅像を元通りにしたという。
 
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本館
3階の会議室。
「けいおん!」の軽音部部室が、ファンにより再現されている。校舎内で自由に落書きできるのはこの部屋の黒板とホワイトボードだけと注意書きがある。
 
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本館
3階の唱歌室(音楽室)。
唱歌室にはステージがあり、黒板には五線譜が描かれている。
唱歌室では「土曜日・日曜日限定でけいおんファンによる演奏会が開かれているという。 
会議室からの通路は左側の舞台袖につながっている。
 
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本館
3階屋上。
旧字体で天体観測用露室と書いてある。
立入禁止となっているが、屋上の上には風向計があり、3階ホールの天井に風向きを知らせる装置があるという。
 
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廊下。
2.7mの廊下は端から端まで125mあるといい、奥まで見通せないほど長い。
 
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講堂。
正門から見て校舎右側の建物は講堂で、別棟になっているが廊下から渡り廊下を伝って入ることができる。
ヴォーリズ設計の神戸女学院の講堂を参考にしているという。ステージ方向に向かって緩やかに傾斜し、300人以上が座れる固定式の長椅子が設置されている。緩やかに下る傾斜には感動した。
現在でも小学校行事(入学式・卒業式)に使われるほか、「とよさと軽音楽甲子園」や「けいおん!キャラのお誕生日会」などで使われているという。
 
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酬徳記念館。
正門から見て校舎左側の別棟建物で、「酬徳記念図書館」として使われていたが、現在は酬徳記念館として観光案内所、「うさかめカフェ」となっている。
 
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酬徳記念館。内部の旧状写真。
 
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酬徳記念館。内部。
アール・デコ風のデザインで装飾されている。
 
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酬徳記念館。内部。
高い吹き抜けと洒落た照明具が印象的。
 
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敷地中央の時計塔石碑。寄贈者銘。「財団法人 豊郷済美会」。
先ほど見学した伊藤忠兵衛記念館で、豊郷済美会が地元に様々な形で寄贈貢献したという話を聞いたが、これを見て実感した。
現代日本の経営者は爪の垢でも煎じて飲んでほしい。
 
このあと、北東近くにある戦国大名尼子氏発祥の地へ向かった。

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