「ウッドストック」 (Woodstock) は、1969年ジョニ・ミッチェルが作詞作曲したウッドストック・フェスティバルについての楽曲で、カウンターカルチャーのアンセムになった。
ジョニ・ミッチェルは、当時恋人だったグラハム・ナッシュからウッドストック・フェスティバルについて聞いた話をもとにこの歌を作った。彼女自身は、このフェスティバルには出かけていなかった。それはマネージャーから、ウッドストックに出るよりもテレビの「The Dick Cavett Show」に出演する方が有利だと言われていたためであった。
ミッチェルはニューヨークのホテルで、フェスティバルについて報道するテレビを見ながらこの歌を書いた。直後のインタビューでミッチェルは、「自分は行けなかった、という喪失感が、ウッドストックに対する強烈な見方を私に与えてくれた、と語った。
「ウッドストック」の歌詞は、会場となったヤスガース農場への道程を、神の子がエデンの園へ赴く道程に例えた言葉で始まり、最後はベトナム戦争の爆撃機が蝶に変わるという歌詞で終わっている。
ミッチェルが、実際に「Woodstock」を初めてステージで演奏したのは、69年9月のビッグ・サー・フォーク・フェスティバルであった。レコードとしては、70年4月発売の3枚目のアルバム「レディズ・オブ・ザ・キャニオン」に収録され、同月にシングルカットされた「ビッグ・イエロー・タクシー」のB面に収められた。
この曲のロック・バージョンがクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのバージョンで、1970年3月にシングルとして発表された。同日発売のアルバム「デジャ・ヴ」にも収録された。70年5月ビルボード11位を記録した。
リードボーカルはスティーヴン・スティルス、リードギターはニール・ヤングである。
彼らのバージョンは、1970年3月(米)・7月(日)に公開された映画「ウッドストック・愛と平和と音楽の三日間」のエンディングで使用された。
イギリスでは、フォーク・ロックバンドの「フェアポート・コンヴェンション」から派生したバンドの「マシューズ・サザン・コンフォート」が、70年7月に「ウッドストック」のカバー・バージョン・シングルをリリースし、10月に1位と大ヒットした。
私は1970年7月の映画封切り時に映画館でこの映画を見ている。様々なミューージシャンの演奏に酔いしれたので、この曲はワン・オブ・ゼムに過ぎなかった。
CSN&Yが実際に日本で初めて注目されたのは、1971年6月に公開された映画「小さな恋のメロディ」の公開により、挿入歌の「ティーチ・ユア・チルドレンTeach Your Children」からであった。
その後、1974年ごろにCSN&Yのベスト盤「So Far」を購入して繰り返し聴いたときに、「ウッドストック」の曲のユニークさに感嘆した。メロディーの上下ぶりがすさまじく、美しい。ハーモニーやギターソロが洒落ている。
以降、作曲者のジョニ・ミッチェルの才能を感じてきた。
今あらためて、各バージョンを聴き比べてみると、CSN&Yのアレンジが特殊だったようだ。4人はいずれも、バンドリーダーやプロデューサーとなれる才能を持っており、素晴らしい出来に仕上げていた。
他の二つのバージョンでは、この曲の良さが引き出されていない。