ザ・スプリームス(The Supremes)は、アメリカの黒人女性ボーカル・グループ。デトロイトで1959年結成、1977年解散。全盛期は1964年から1969年まで。
日本では、21世紀に入りスプリームスとよばれるようになったらしいが、シュープリームスでないとイメージがわかない。
1959年結成時は、ダイアナ・ロスほかの4人で、1961年、ザ・スプリームスと改名してモータウンと契約した頃にはダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラードの3人組となっていた。
スプリームスは、モータウンの社長ベリー・ゴーディ・ジュニアの強力なプッシュを受け、ホーランド=ドジャー=ホーランドの作曲・プロデュースの下でヒットを連発した。1964年6月発売の「愛はどこへ行ったの」が、初の全米No.1となったのを皮切りに、シングルが5作連続全米No.1を記録、スプリームスは一躍全米のアイドルグループとなる。1969年のダイアナ・ロス脱退まで、合計12作の全米No.1ヒットを生み出し、アメリカで最も成功したボーカルグループである。1960年代半ばは、ビートルズと人気を競った。
60年代の代表的なヒット曲には「BabyLove 」(1964)、「Stop! In the Name of Love」 (1965)、「You Can't Hurry Love恋はあせらず」 (1966) 、「You Keep Me Hangin' On」 (1966)、「Love Child」 (1968)などがある。
1967年、ベリーのダイアナだけを前面に押し出した売り方に不満を募らせ、アルコール中毒に陥ったフローレンスが解雇され、シンディ・バードソングが加入。グループ名も、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームス(Diana Ross & the Supremes)となった。フローレンスは、その後ソロ歌手として2枚のシングルを出したがヒットせず、1976年に亡くなっている。
この悲劇を脚色して描いたのが、1981年に初演されたミュージカル「ドリームガールズ」で、。2006年には、映画『ドリームガールズ』が公開された。
代表曲。
Baby Love (1964)。スプリームスらしい曲。
Stop! In the Name of Love (1965)。メリハリの効いた印象的な曲。
You Can't Hurry Love (1966) - 邦題「恋はあせらず」フィル・コリンズがカバーし、83年にヒット。
You Keep Me Hangin' On (1966) 日本では大胆なアレンジを加えたヴァニラ・ファッジのカヴァーの方が知られていた時期があった。
Love Child (1968) - 「ラブ・チャイルド」。9週連続1位だったビートルズの「ヘイ・ジュード」に代わり1968年11月に1位となった。1967年にダイアナ・ロス&ザ・スプリームスとなってからNo.1ヒットに恵まれず焦っていたモータウンは、特別チームを編成して曲の構想を練り、従来のラブソングではなく、男にセックスを思いとどませる女の歌を作ることにした。ヒロインは「love child」、神の子、父なし子、私生児である。スラムの貧困の中で生まれ育った。だから子供を造るとしても同じ境遇にしないでほしいと歌っている。
ほかの録音と同じく、ボーカルに参加したのはダイアナ・ロスだけで、メアリーとシンディは加わらず、セッショングループがバックボーカルを歌っている。
1967年ごろには、過去のヒット曲がラジオでよくかかっていた。ダイアナ・ロスの甘い声が印象的だった。
1968年秋ごろ、父親が新聞社に勤めている同級生がマスコミのみに配布された「ラブ・チャイルド」の試聴盤を音楽好きで知られていた私に貸してくれて、家で聴いたことを覚えている。
時々聴こえる女性の短い高音は忘れられない。スプリームスといえば、この女性の声だ。社会的に抑圧された黒人の悲嘆の声だという。