ダイアー・ストレイツ（Dire Straits）は、1977年ロンドンで結成されたイギリスのロックバンド。1970年代末から90年代初頭にかけて、世界的な人気を誇った。
作詞・作曲、リードギター、ボーカルを担当するマーク・ノップラー中心のバンドで、ノップラー独特のフィンガー・ピッキング奏法によるギタープレイで知られる。
Dire Straits」の"dire"は「ひどい」、"strait"は「断崖、苦境」の意味で彼らの困窮していた状態を揶揄したもの。
1978年にマフ・ウィンウッド（元スペンサー・デイヴィス・グループのベーシストで、スティーヴ・ウィンウッドの兄）のプロデュースで、ファースト・アルバム「悲しきサルタンDire Straits」を発売した。2月にシングル「悲しきサルタンSultans of Swing」を発売。
「悲しきサルタンSultans of Swing」は、マーク・ノップラーの作品で、ノップラーがロンドンの場末のﾊﾟﾌﾞで演奏していたジャズバンドが最後に自分たちをSultans of Swing と紹介したのを聞いて、彼らの野暮ったい雰囲気と王様という名乗りの落差の対照を面白く感じて、曲を構想したという。
ノップラーは当初、オープン・チューニングのスティール・ギターを使って作曲したが退屈に感じられ、1977年にストラトキャスターを購入した後、歌詞はそのままにして曲に手を加えるなど、3回録音し直した。
アメリカでの発売は1978年の秋で、徐々に評価が高まり、1979年の3月に全英8位、4月に全米4位を記録する大ヒットとなった。
1979 年、2枚目のアルバム「 Communiqué」、シングル「Lady Writer」発売。1980年、3枚目のアルバム「 MakingMovies」、1981年シングル「Tunnel of Love」を発売。1985年シングル「「Money for Nothing」を発売。
マーク・ノップラーMark Knopfler（1949年～）は、グラスゴーで生まれた。父は、ナチスを避けて1939年ハンガリーからオランダを経てスコットランドに移住したユダヤ系ハンガリー人の建築家、母はアイルランド人。、イングランド北東部ニューカッスル・アポン・タインに家族ごと移住し、10代の頃からギターを独学で学びはじめ、大学卒業後は新聞記者や教師をしつつ複数のバンドを掛け持ちした。
1960年代、彼が影響を受けたのは、ElvisPresley、Chet Atkins, Scotty Moore, B.B King,Django Reinhardt, Hank Marvin（シャドウズ）, Scotty MooreとJames Burton（二人ともプレスリーのバックギタリスト）で、ボブ・ディラン、J・J・ケイル（オクラホマ州タルサ出身のミュージシャンで、クラプトンに影響を与えた）等、主にカントリー系のギター奏者に多くの影響を受けている。
1990年代からはソロ活動を始め、カントリー系の演奏を披露している。
私が「悲しきサルタンSultans of Swing」の名を知ったのは、1979年春にカーラジオを聴いていたとき。1年ほど前からダイアー・ストレイツの曲を数曲聴いていたが、どれも同じような曲調で代表曲がどれだか分からなかったので、「悲しきサルタン」が代表曲だと判明した。
マーク・ノップラーのギターの音色は独特で、哀愁を帯びている。そのルーツは分からない。
「悲しきサルタン」ではアンダルシアのモードが使われているらしい。彼が聴いていたというジャンゴ・ラインハルトはジプシーのジャズギタリストなので、ジプシー音楽のマイナーな曲調が表れているのかもしれない。
しかし、音色だけの連想でいえば、1965年、スウェーデンのインストルメンタル・グループ「ザ・スプートニクス」がヒットさせた「霧のカレリア」という曲の音色を思い浮かべてしまう。
ベンチャーズには哀愁さはないが、この曲のカバーはイメージが似ている。
1981年のシングル「Tunnel of Love」はラジオでよくオンエアされていた。ロック的なアップテンポのギター奏法が成熟しており、途中でスローテンポになって、「rock away 」「Girl it looks sopretty to me」の繰り返しは耳たこになるほど印象的で、ドラマチックな仕上がりになっている。
1985年のシングル「「Money forNothing」はMTV、ベストヒットUSAでよく放送されたが、初期の曲に比べると、出来はよくない。