スティーリー・ダン(Steely Dan)は、1972年に結成されたジャズ・ロックバンド。AORにも分類される。
ロックやポップスを基調としながら、ジャズ的な要素を加えたサウンドが特徴。
1967年ドナルド・フェイゲン(1948年~)とウォルター・ベッカー(1950~2017年)はニューヨークのバード・カレッジ在学中に知り合った。ともにジャズの愛好家だった彼らは、カレッジ時代の友人たちと組んださまざまなバンドでジャズ、ポップ、ロックのスタイルを試みた。フェイゲンはジャズで使われるコードやコード進行を好み、自作の作品にもそうした要素を組み入れた。
1971年プロデューサーのゲイリー・カッツに才能を見出された2人はロサンゼルスに移住、バンドとしてレコード・デビューするために旧知のミュージシャンを呼び寄せ、1972年スティーリー・ダンを結成した
デビュー当時のメンバーは、ドナルド・フェイゲン(ボーカル、キーボード)、ウォルター・ベッカー(ベース、ギター)、デニー・ダイアス(ギター)、ジェフ・バクスター(ギター)、ジム・ホッダー(ドラム、ボーカル)、デイヴィッド・パーマー(ボーカル)。
ドナルド・フェイゲンは自分がボーカルを取ることをとても嫌がっていた。自分の声域が狭く理想的な声質でないこと、、あがり症でライブなどではMCもこなさければいけないことが不安という理由があったため、デイヴィッド・パーマーをボーカリストとして迎えた。しかし、プロデューサーのゲイリー・カッツらは、個性的な歌声のフェイゲンのボーカルを気に入り、フェイゲンがリードヴォーカリストとして定着する。ツアーやレコーディングではフェイゲンはキーボード演奏を担当し、またレコーディング曲ほぼ全てのリードボーカルも担当している。ライブではデイヴィッド・パーマーがボーカルを担当した。
1972年発表のデビュー・アルバム「キャント・バイ・ア・スリル」からシングル・カットされた「Do It Again」は全米6位のヒットを記録した。 スタジオ版のボーカル・ピアノ・キーボードはドナルド・フェイゲン、エrクトリックシタールはデニー・ダイアス、ギターはジェフ・バクスター。ライブでのボーカルはデイヴィッド・パーマー。
1974年発表のアルバム「プレッツェル・ロジック」からシングルカットされた「Rikki Don't Lose That Numberリキの電話番号」は全米4位の大ヒットを記録した。この曲にはラテンビートが導入され、イントロのベースに
はホレス・シルバーの「Song for My Father」が引用されている。ボーカルはドナルド・フェイゲン、ギターはジェフ・バクスター、バックボーカルはティモシー・シュミット。
アルバム中の「Parker’s Band」はチャーリー・パーカーにインスピレーションを得た曲であった。「East St. Louis Toodle-Oo」はデューく・エリントン楽団のカバー曲で、ミュート・トランペットとサックスの個所をエレクトリック・ギターとペダル・スティール・ギターのソロをあて、サウンドを新しくしたものであった。
プロのミュージシャンとなればライブ活動は必要不可欠だが、本来作曲家としての活動を望んでいたベッカーとフェイゲンはロードの生活を嫌っていた。コンサートの聴衆のためにレコードの演奏を再現することなど最初から興味がなかった。また作品を追うごとに理想とするサウンドとバンドの演奏力の差が明らかになると、メンバーの感情を無視して外部のスタジオ・ミュージシャンを積極的に起用するようになり、バンドとしての一体感は失われていった。
この年のライブではマイケル・マクドナルド、ジェフ・ポーカロがツアーメンバーとして参加している。
1974年のうちに、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー以外のメンバーがバンドを去った。以降はスタジオ・レコーディングのみの活動に専念し、ジャズ・フュージョン系のミュージシャンを起用し、クロスオーバー的な洗練された音作りを指向するようになった。
1975年のアルバム「うそつきケティ」のなかの「DoctorWu」ではアルト・サックスのフィル・ウッズを起用した。
1977年のアルバム「彩(エイジャ)」では、ウェイン・ショーターを起用した。このアルバムは全米3位、200万枚を売り上げる大ヒットを記録した彼らの代表作である。
1980年のアルバム「ガウチョ」を発表後、1981年にスティーリー・ダンは活動を一時停止し、ソロ活動に入り、のちに再結成した。
1979年ドゥービー・ブラザーズの来日公演でジェフ・スカンク・バクスターのギターを聴いて以来、彼とマイケル・マクドナルドが在籍していたというスティーリー・ダンは気になるバンドであったが、ラジオで流れることはなく、AORだという触れ込みしか知らなかった。
90年代のCDレンタルの時代になってから、スティーリー・ダンのアルバムを借りて聴いてみたが、どのアルバムだったのか分からないが、全くつまらない音だったので、放置した。
Youtubeの時代になり、1年ほど前から「Rikki Don't Lose That Number」、「Do It Again」が関連して紹介されるので聴いてみたら、なんだか聴いたことがあるような曲だった。
これ以外の曲を聴いてみると、「Doctor Wu」や「East St. Louis Toodle-Oo」も面白い曲だった。しかし、「Aja」や「Peg」はつまらなく感じた。