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ローリング・ストーンズの名曲 その4 「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」 「ストリート・ファイティング・マン」 「悪魔を憐れむ歌」 「ホンキー・トンク・ウィメン」          

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アルバム『スルー・ザ・パスト・ダークリーThrough the Past,Darkly (Big Hits Vol. 2)』は19699月にリリースされた。

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アルバムは四隅を切り取られた八角形の変形ダブルジャケットで、内側にはブライアン・ジョーンズ追悼の一文が記載された。
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アルバムの収録曲は196667年頃のサイケデリック・ロックの影響を受けた曲と68年以降のルーツであるブルースの要素を加えて、ストレートなロックに転換した時代の曲がある。196812月にリリースされたアルバムで『ベガーズ・バンケットBeggars Banquet』のころの楽曲が、「ジャンピン・ジャック・フラッシュJumpin' Jack Flash」、「ストリート・ファイティング・マンStreetFighting Man」」、そしてブライアン・ジョーンズの最後の参加作となった「ホンキー・トンク・ウィメンHonkyTonk Women」である。
キャッチーなリフを生み出すキース・リチャーズの能力が発揮された時代であった。
 
1962年から67年まで、ストーンズのマネージャーと音楽プロデューサーであったのはアンドリュー・オールダムであった。以前、彼はビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインの下でビートルズの宣伝係を担当をしていた。オールダムはストーンズを国際的な成功へ導き、ミック・ジャガーがブライアン・ジョーンズに代わってバンドの主導権を握ることに協力した。しかしジャガーがバンドの主導権を握ると、オールダムの支配を拒絶するようになり、オールダムは1967年後半に、ストーンズから手を引いた。
 
1968年以降は、以前のサイケデリック路線から一転、現在につながるストレートかつハードなロックの黄金時代が始まる。ストーンズは1968年前半の数ヶ月間、次のアルバム『ベガーズ・バンケット』の制作に取り組んだ。このセッションから5月にシングルとして「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」がリリースされた。この曲とアルバム『ベガーズ・バンケット』(英3位、米5位)は、。からインスパイアされた曲を、バンドのルーツへの回帰を示し、プロデューサーのジミー・ミラーとのコラボレーションの始まりとなった。
 
このアルバムには「ストリート・ファイティング・マン」と「悪魔を憐れむ歌」などが収められた。

キースはこの頃からリズムパートにオープン・チューニングを使い始めた。1968年にはオープンEまたはオープンDチューニングが最も顕著だった。1969年になるとしばしば5弦のオープンGチューニング(6弦は取り外した)を使うようになり、1969年のシングル「ホンキー・トンク・ウィメン」以降頻繁に聴かれるようになった。
 
『ベガーズ・バンケット』のリリース後、ブライアン・ジョーンズはますますトラブルを起こし、彼の薬物使用は障害になっており、彼はアメリカのビザを取得することができなかった。ブライアンの家で6月に行われたミック、キース、チャーリーとの話し合いでブライアンはバンドを脱退した。脱退から1ヶ月足らずの196973日、ブライアンは自宅のプールで溺死しているところを発見された。27歳であった。
 
 
「ジャンピン・ジャック・フラッシュJumpin' Jack Flash」(1968年、米1位)。ストーンズの黄金期とされる60年代後半から70年代前半までの作品の始まりを告げた60年代後半の代表作。
ストレートかつハードなロック・ナンバー。イギリスでは「黒くぬれ!」(1966年)以来の1位、アメリカでも3位の大ヒットとなった。
歪んだエレキギターのようなサウンドは、アコースティックギターの音である。キース・リチャーズはEのオープンチューニングに変え、カセットレコーダーに録音し再生した音を使用したという。ベースもリチャーズが演奏した。リチャーズは「この曲と「ストリート・ファイティング・マン」では、一切エレキギターを使ってない」と語っている。
 
「ストリート・ファイティング・マンStreet Fighting Man (1968年、米30)。『ベガーズ・バンケット』収録。1968の政治的な騒乱に影響を受けた曲。ミックが5月にロンドンのアメリカ大使館前でのデモに参加した体験が反映されている。
アコースティックギターの音を加工したサウンド。ブライアンはタンブーラを担当。
 
「悪魔を憐れむ歌 Sympathy for the Devil」『ベガーズ・バンケット』収録。
カバーされることの多い名曲。ルシファーらしき男は、世界の歴史の中でいかに自らが多くの事柄に関与してきたのかを物語り始める。イエス・キリストの処刑を皮切りに、ロマノフ朝一族を虐殺したロシア革命、第二次世界大戦、ヨーロッパの宗教戦争が続く。ケネディ兄弟の暗殺などを語る。「歌詞が神を冒涜している」という宗教団体からの抗議が起こり、アルバムが大量に燃やされるという事件があり、アメリカでは放送禁止になった。
曲は、ミック・ジャガーの作品で、アフリカ系の打楽器を使用。ガーナ出身のロッキー・ディジョーンのコンガ、ミックのマラカス、ワイマンのシェケレが刻むサンバ調のリズムで始まり、呪術的なコーラスが加わる。ピアノはニッキー・ホプキンス。
 
「ホンキー・トンク・ウィメンHonky Tonk Women (1969 年、米1)7月にシングルとして発売され、8月に1位。9月のアルバム『スルー・ザ・パスト・ダークリー』に収録された。 
ブライアン・ジョーンズの後任ギタリスト、ミック・テイラーが初参加した楽曲。当初のテイクでは最後の参加となったブライアン・ジョーンズがギターを弾いていたが、不採用となった。
 
これらの楽曲はラジオでよく聴いた。
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」はストーンズで久し振りに聴いたロックナンバーだった。テンポが速く、メロディーが良く、ギターリフもかっこいいというロックの典型的な曲だった。日本発売数か月後ぐらいに、おそらくテレビ「ヤング720」でミックの激しいアクション映像を見て衝撃を受けた。そういう動きをするボーカルは内外にいなかったからだ。
 
1968年ともなれば、ジミ・ヘンドリックが196610月にシングル「Hey Joe」、19673月に「Purple Haze」をリリースし、クラプトンなどのブルース・ロックの流行が始まっていた時代だ。キース・リチャーズやブライアン・ジョーンズには彼らほどの演奏技術はない。今までは、ビートルズの後追いで良かったが、ブルースロックへどう対抗するか。ジャガー・リチャーヅの作曲能力を生かした別の形でのロック路線を追求のではないだろうか。そして、独自といえるストーンズサウンドが生まれ、長く時代を生き残ることができた。ミック・ジャガーは流行を次々に取り入れる器用さがある。キース・リチャーヅはギター職人で、ミックにときに不満を感じてもストーンズという枠内のほうが生き生きとした音楽人生が送れると分かっていたのではないか。
 
ブライアン・ジョーンズの突然の死は驚きだった。ブロンドのイケメンという印象を持っていただけで、実際の役割はよく分からないメンバーであった。中流階級出身で、知能が高く、マルチな楽器プレイヤーでバンドの中では一番音楽的才能があり、多彩なサウンド作りに貢献した。バンド結成時はリーダー格だったというのも本当らしい。しかし、16歳のとき14歳の少女を妊娠させ、退学させられた。以後も、多くの女性を妊娠させ、子供の面倒をみないということを繰り返した。バンドの演奏をすっぽかすことも多く、リーダーとしてもも社会人としても落第だった。麻薬で演奏できなくなったので、バンドを脱退させられた。才能はあるが人格的に問題のある人物。脱退後は、ソロで作品を作ってくれれば良かったのかもしれない。
 
アルバム『ベガーズ・バンケット』を全曲聴いてみた。有名曲のほかは、アコーステックな駄作が多い。
カントリーやカントリーロック風の曲が多いといわれる。楽器はそうなのだが、ミックの声質には向いていないし、曲調もそれらとは違う。なかでは、「地の塩 Salt of the Earth」ぐらいが素材として使える曲か。
 
「ストリート・ファイティング・マン」。ビートルズの「レボルーション」を意識した曲。「・・・ション」という韻が多く、ださい面がある。ストーンズのロック調曲としては合格。
 
「悪魔を憐れむ歌」。不思議なグルーブを持つ曲。ハイドパークのライブで有名。後半のギターリフは緊張感がある。ヘビメタのサタン傾向を助長した曲。
 
「ホンキー・トンク・ウィメン」。ストーンズ風のスワンプ・ロック。カントリー風には聴こえない。のちのレイナード・スキナード的なサザンロック調、CCR調、R&B調の曲で、ラジオで初めて聴いたときも、新加入のミック・テイラーがブルースギタリストということもあり、ブルースの要素の入ったロックと受け止めていた。テイラーはサビの部分を担当。
ホンキー・トンクだからカントリーというのは単純すぎる。メンフィスはブルースでも有名な土地柄だ。
とにかく、ストーンズらしいロックの名曲。詞・曲・ギターのバランスが良い。
オ^プンGチューニング。「レット・イット・ブリード」の録音に参加したライ・クーダーからフレーズを盗まれたとクレームをつけられた。

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