まず、午前の早い時間に家島本島を訪れることにした。家島諸島は姫路市の沖合いにあり、淡路島・香川県の小豆島の間にある瀬戸内海の島である。
30年近く前、小豆島の観光を終えて姫路港へ着いたとき、家島行きの待合室に乗船客が大勢いたことを覚えている。家島諸島は昨日見学した置塩城とともに谷崎潤一郎の「乱菊物語」の舞台になっている。そこは西島であるがやや遠い。坊勢島で寿司を食べるのもいいが、料金が高そう。特にこだわることもないので、史跡見学としては家島神社のある家島本島のみとした。
姫路港に着いて、駐車場を捜したが、時間制の有料駐車場しかない。7時50分頃に駐車して出場したのが10時45分頃だったので料金は600円だった。
待合所に着き、8時18分の家島行きの乗船券を購入した。2日後に値上がりする前だったので、片道900円。家島本島へは「高速いえしま」と「高福ライナー」の2社が交互に出港している。券売機は別なので、会社名を確認して購入。家島本島の表玄関には真浦港と宮港がある。真浦港がメインなので、この港しか考えていなかったが、待合所にある地図で見ると、家島神社へは宮港が至近。真浦港から家島神社まで歩くとかなりの時間がかかりそうなので、宮港で降りることにした。運賃は同じ。
「高福ライナー」の高速船は8時18分に姫路港を出港した。乗客は20人ほど。
家島神社をめざして北東方向へ歩く。海岸沿いに旅館や水産工場などを見ながら歩いていく。
シオカキという言葉から始まるこじつけのように思われた。
参道路が続く海側へ進むと、神社の拝殿が見えてきた。
神社のある山は、神功皇后が戦勝祈願をされた際、全山鳴動したため『ゆるすの山』とも呼ばれている。また「続日本後紀」には、国家鎮護の神として承和7年(840年)官社に列せられたとある。
この天神の杜「天満霊樹」は家島唯一の原始林が現存しており、シイ、トベラ、ウバメガシ、モチなど温帯照葉樹林の植生を見ることができる。ここに原始林が残っているのは、常に聖地とされ、人の手がほとんど加えられなかったためである。
そのせいか、神社の周囲からは周りの海を見ることが出来ない。周囲を展望できる場所までは遠そうだったので、宮港10時5分の便には間に合いそうもなく、諦めて石段を下り鳥居に戻った。
家島の名は、神武天皇が東征の際に嵐に合い、家島に寄港し、島内に入ると外の嵐と打って変わって波は穏やかで、まるで自分の家にいるように感じた事から名づけたという伝説がある。
古くから瀬戸内海の海上交通路の拠点として、または潮待ち、風待ちの避難港としても栄えてきたことがうなずける。
10時40分頃に姫路港に到着。次の見学地、太子町、たつの市方面へ向かった。