マーシャル・タッカー・バンドThe Marshall Tucker Bandは、サウスカロライナ州スパータンバーグで1972年に結成されたサザン・ロックバンド。
ロックを基本に、カントリー、ブルース、R&B、ジャズなどアメリカンミュージックのすべての要素を取り込んだサウンドである。
オリジナルメンバーは、リードギターでほとんどの曲の作詞作曲をしたトイ・コールドウェルToyCaldwell、ベースで弟のトミー・コールドウェルTommy Caldwell、リズムギターで曲も書いたジョージ・マッコークルGeorge McCorkle、フルート・サックスでこのバンドの味付けをしたジェリー・ユーバンクスJerry Eubanks、ドラムでジャズ畑のポール・リドルPaulRiddle、ボーカルのダグ・グレイDoug Gray。
ゆったりしたカントリーフレイバーあふれる大陸的な曲もあれば、タイトなリズムにあふれるハードなギターソロもある、ジャムセッションみたいな曲もあるという幅広いサウンドだ。ダグ・グレイの深みのある伸びやかな歌声はほかのバンドにはない印象を与えている。ユーバンクスのフルート・サックスもいい味付けになっている。
トイ・コールドウェルのサム・ピッキング奏法Thumb Pickingまたは親指奏法について。
トイ・コールドウェルが親指でギターを弾いていることは、1978年ごろに購入したLP3枚に言及されていなかったので、全く知らずに聴いていた。音楽評論家やミュージシャンでもないリスナーにとっては、結果としてのサウンドに主要な興味をもっていただけなのだ。動画は、今ではyoutubeで簡単に視聴可能だが、日本で人気のあるミュージシャンでなければ、当時は簡単に見られるわけではなかった。
2000年代になり、輸入物のDVDを購入して親指で弾いていることに気づくことになる。2006年末に購入したDVD(1981年のライブ収録)の解説や証言には、その奏法への言及があり、カントリーが好きだった父親の影響で子供のときからトイとトミーが親指の腹で弾くことを覚えたことを知った。トイはベトナム戦争従軍中に同じ親指奏法のウェス・モンゴリーの奏法を練習したという。ジャズ・ギターのような雰囲気があるのはその影響かもしれない。指の腹から血が噴き出して、ジョージ・マッコークルの顔に当たっても演奏を続けたと言う話は印象的だった。
ところで、もしトイが普通にピックを使っていたら、楽曲はどう違ったのだろう。彼の脳内の音楽風景は変わらないので、曲の骨格は同じだろう。ギターのリフが違ってくるのかどうか。どちらが良かったのだろうか。
「24 Hours At A Time」。アルバム「A New Life」(1974年2月)収録。
作詞・作曲トイ・コールドウェル。フィドルはチャーリー・ダニエルズ。スタジオ録音にもライブにもゲスト参加することが多かった。チャーリー・ダニエルズ・バンドとマーシャル・タッカー・バンドは一緒に巡業することが多かったようだ。
「This Ol' Cowboy」。アルバム「Where We All Belong」(1974年11月)
作詞・作曲トイ・コールドウェル。スタジオ版のフィドルはチャーリー・ダニエルズ、リード・ボーカルはトイ・コールドウェル。トイのボーカルは淡々として物静か、味わい深い。
のちのライブではダグ・グレイがボーカルをとる。
この曲はアマチュアのカバーが多い人気曲。10年以上、比較して見てきたが、ほぼがっかり。2007年に初めてこの曲の存在を教えてくれたThe Montgomery BurnsBandの演奏は素晴らしい。
This Ol' Cowboy
Well I'm sittin' down in San Anton'
Waiting on an eight o'clock train
My woman left me here last night
Things ain't been quite the same
I gotta get back to Dallas
And tie up a few loose ends
I'm gonna work a week make a hundred dollars
Aw and hit the road again
So I don't want you to think
That you're the first one
To leave me out here on my own
'Cause this ain't gonna be the first time
This ol' cowboy spent the night alone
Now honey I've been a fool but a bigger fool
I can't remember when I've been
Just to open up my heart
And let you walk right in
But there's one thing in this life
That ain't hard for me to do
That's as soon as I kiss the lips of another woman
I'm gonna forget all about you
So I don't want you to think
That you're the first one
To leave me out here on my own
'Cause this ain't gonna be the first time
This ol' cowboy spent the night alone
If you wrote all the woman's names down I know
And let me pick one out
I don't think there'd be one in the whole bunch
Aw I'd give a hoot about
So I don't want you to think
That you're the first one
To leave this ol' boy out here on his own
Cause this ain't gonna be the first time
This ol' cowboy spent the night alone
No this ain't gonna be the first time
This ol' cowboy spent the night alone