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日本最新の隕石 小牧隕石 名古屋市科学館で2019年4月6日から常設展示

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愛知県小牧市で2018926()2230分頃、住宅の屋根に落ちた隕石(小牧隕石)が、名古屋市科学館で201946日から常設展示され、テレビニュースで紹介されたので、201949日(火)に見学した。

 
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「小牧隕石」は、小牧市の住宅の屋根に落ちて割れた隕石の最も大きい部分で、およそ
530gある。
20192月に「国際隕石学会」に登録された。
 
イメージ 2「小牧隕石」は太陽系ができて間もない約46億年前に形成され、20003000万年前に分離した部分とみられる。
この隕石に含まれるアルゴンガスの分析から44±2億年(形成年代)前に形成され、ネオンガスの分析から2510±60万年(宇宙線照射年代)前に、元の小惑星から割れて小さな破片となったことが示された。多くのL型コンドライトが2000-3000万年の宇宙線照射年代を示すことから、Lコンドライトの元の天体(小惑星)が、小惑星同士の衝突によって多数の破片となり、そのなかのいくつかが時々地球に落下していると考えられている。
 
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表面は落下の際の空気抵抗による熱で溶けて黒っぽいが、中には地球の地表にない「鉄ニッケル合金」が含まれ光って見えている。
隕石は黒い薄い殻のようなものに包まれている。これは溶融被殻と言って、宇宙空間から大気中に飛び込んで急ブレーキがかかった際、非常に高温になって表面が融けたもので、流れ星が光るのもこの空力加熱によるものである。これは空気中を超高速で移動する物体の前面で、空気が圧縮されて大変な高温になる現象であり、摩擦ではない。
小牧隕石ではこの空力加熱で融けた側(たぶんこちらを下にして大気に突入した)が丸くなっている。展示ではその面を下側にし、下から覗き込んだり、鏡で見ることができるようにしている。
 
隕石が大気に突入する速度は一般に秒速数10kmにもなる。その超高速で、上空100kmほどで大気が濃くなるところに突入すると前述の空力加熱で一気に融けて小さくなる。
小牧隕石落下の夜がもし晴れていたら、中部から関西の各地でまばゆい火球として見えたであろう。その後、突入してきた速度はほとんど失われ、上空から自由落下する。このときの向きは先程の溶融の向きとは関係はない。
 
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手前の平らな部分は研究用切断面で、てかった感じに見える粒が鉄ニッケル合金。上を覆う黒い部分は溶融被殻。
 
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隕石内部の説明図。
小牧隕石では展示上面が、屋根にあたり割れた結果、溶融被殻の中の隕石そのものを見ることができる。また研究用にカットした断面から、組織を観察できる。
 
見つかった隕石のうち、最も大きい破片()は落下時点で550g(105x85x45mm)あった。研究および隕石の登録用に20gを切断した後、現在は530gになった。
2番目の大きさの破片()81gあり、国立科学博物館で常設展示されている。
3番目の破片()23g。それ以外の多くの欠片も加えて全体で650g程度だったと推定される。
左上の写真は3つの主要な破片を合わせてみた時の写真(撮影:国立科学博物館)
 
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小牧隕石の偏光顕微鏡による映像。
欠片から岩石薄片を製作し(協力:名古屋大学博物館)、偏光顕微鏡での映像を展示している。
岩石を薄く削って光が通るようにし、偏光板を用いて観察ができるようにした偏光顕微鏡で、鉱物の結晶構造などを観察する。
 
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小牧隕石には太陽系の形成時に宇宙空間でできたコンドルール
(球粒)と呼ばれる丸い小さな粒(一般に0.1mm-10mm程度)が含まれている。
コンドルール自体は主に輝石やかんらん石からできている。またコンドルールではないかんらん石(偏光板を入れてみると色鮮やかに見えている粒)や鉄ニッケル合金(不透明)の粒も多く見られる。
 
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隕石が落下した経緯を示す模型。
2018926()2230分頃、愛知県小牧市の民家に隕石が落下した。
雨の中、大きな音がして翌朝調べてみると、民家Aの屋根にえぐれた跡があり、庭とテラスに黒い破片(中、小)が落ちていた。隣の民家Bのカーポートの屋根には穴が開き、とめてあった車の屋根やカーポートの梁に傷があった。
そして民家Bの玄関に黒い石()が発見された。
 
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民家
Aのえぐれた屋根。
残念ながら、落下当日の東海地方は雨で、全国にある火球の監視カメラにも写っておらず、落下の目撃者もなかったので、宇宙空間での軌道を推測するすべはない。
 
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隕石はどこから来たのか。
宇宙空間からの自然起源の固形物が、地表や他の惑星、月などの表面に落下したもの。太陽系の惑星や衛星の表面に見られるクレーターは、そのほとんどが隕石の落下によって形成されている。地球に落下し回収されたものは、月や小惑星から持ち帰った僅かな石以外でわれわれが直接手にすることのできる、唯一の太陽系の始原につながる物質である。小惑星帯を起源とする隕石は46億年昔の年代を示し、太陽系や地球の生成年代の推定に使われている。地上で手に入る隕石は、その絶対量が少なく貴重な研究資料である。1969年以降には、南極に隕石の氷河による集積地が発見され、日本の極地研究所とアメリカが大量の隕石を収集・保管し、研究の対象となっている。
 
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隕石はどこから来るのか。
地球に落ちてくる大部分の隕石の起源は、小惑星帯にある。これは、落下を観測された複数の隕石の軌道から割り出されたものである。しかしごくまれに、月起源や火星起源(SNC 隕石)と考えられる隕石がある。
 

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地上に残る隕石クレーター。
隕石は、落下が見届けられその落下地点から見つかる落下隕石と、落下は見られていないが、後に見つかる発見隕石に分けられる。
隕石は通常、その落下地点の名前がつけられる。最も大きな隕石はナミビアにあるホバ(Hoba)隕石で、重量は約60トンで、1920年に発見されている。重すぎるのでそのまま現地に置かれている。2位は、グリーンランドで見つかったケープヨーク(CapeYork)隕石で、そのかけらのうち最も大きな31トンのアーニートゥ隕石(Ahnighito)はニューヨーク自然史博物館にある。3位は、ロシア・中国・モンゴル国境付近で発見されたアレタイ(Aletai)隕石で、その中でもっとも大きな28トンのアルマンティ(Armanty)隕石が中国領内で公開されている。
 
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隕石の種類。
その成分から大きく、鉄隕石(iron meteorite)、石鉄隕石(stony-iron meteorite)、石質隕石(stony meteorite)に分類される。さらに、石質隕石はコンドライトとエコンドライトに分類される。
鉄隕石(隕鉄などとも呼ばれる)は、ほとんどが鉄‐ニッケル合金で構成されている。石質隕石は珪酸塩、いわゆる岩石質であり、石鉄隕石はそれらが混じっている。コンドライトは、球状の組織コンドルールが見出だせるより始源的な石質隕石、エコンドライトはコンドルールが見られない分化した石質隕石である。
 
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一般に、鉄隕石、石鉄隕石、石質隕石(エコンドライトの一部)にはいくつかの母天体があり、母天体は核、マントル、地核を形成したと考えられている。その母天体は現在までにばらばらになってしまい、その中心部を構成していたかけらが鉄隕石、そのやや外側が石鉄隕石、そして上層が石質隕石(エコンドライトの一部)だと考えられている。また、エコンドライトにはコンドライト以外の石質隕石が分類されるため、他の起源を持つものもある。コンドライトはそのような母天体にならなかった小天体が起源と考えられ、太陽系の初期条件を決める上で重要な資料である。
 
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石質隕石は鉄隕石よりもろいため、最大でも吉林隕石の総重量
4トン、最大破片1.8トンである。そのもろさゆえに大量の隕石が降り注ぐ隕石シャワーになる場合が他の隕石種より多く、196928日にメキシコのアエンデに降り注いだ隕石シャワーは、50km×12kmの範囲に何千もの隕石が落下し、そのうち約2トンが回収されている。
 
鉄隕石は特に有史時代以前から特別な石として、また鉄鉱石として知られていた。日本で一番古い隕石は、福岡県直方市の直方隕石が世界最古の落下隕石となる(西暦861年)。2番目は、名古屋市南区の南野隕石(西暦1632年)である。
 
小牧隕石は石質隕石で、石質隕石には、いったんある程度の大きさの天体を形成した後、破片になったエコンドライトと、太陽系ができた46億年前からの球状の組織(コンドルール)を保持しているコンドライトがあり、小牧隕石は「L6普通コンドライト」に分類された。
 
日本国内での隕石落下は2003年の広島隕石以来15年ぶりで、20182月に登録された長良隕石(岐阜市)に続いて国内で52番目に確認された隕石となった。

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