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マイナス金利や金融緩和 は大増税政策と同じ

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石原順 楽天証券外為市場アウトルック
2016年2月18日第439回 「日本株が一番下がっている本当の理由・相場の転換点の発見方法」から

日本株の下げがきつい。「日本株は世界の景気敏感株だから」という解説がされているが、海外ファンドの見方は全く違う。「世界の株式市場の下げを先導しているのは、先進国の株式市場だ。特に、量的緩和を行っている国の株が下げている。量的緩和の規模が最も大きい国は日本で、20年間ゼロ金利が続いている日本株の下げが一番大きいのは当然だ」という意見が多い。

中央銀行バブルの限界が露呈し、グローバルマクロファンドは量的緩和を行っている国の株をショートしている。世界で最も量的緩和を行っている国は日本である。新興国の株はたいして下げていない。

あるグローバルマクロファンドの運用者は、「量的緩和や異常低金利で儲かるのは、本来、国家や借金まみれのゾンビ企業であって、個人ではない。量的緩和の効果というのは、個人から預金金利を取り上げて、個人の金利所得を国家に移転する大増税政策である。消費税や法人税を上げるのは難しいので、そういった政策がとられるが、それは金融抑圧政策と呼ばれるものだ。












日本は1000兆円の借金を持っているが、常識的な金利水準である3%の金利を払わずに、概ね20年間もゼロ金利を続けてきた。国民からみると、年間30兆円の金利が収奪されていることになる。このような<見えない大増税=金融抑圧>が行われている国の景気がよくなるわけがないと述べている。

円安で企業業績に下駄を履かせ、PKO(価格維持操作)と自社株買いだけで上げてきた日本株相場は、中央銀行が値付けをしてきた相場と言ってもよい。日銀に打つ玉がないという陰りが見えてきたことから、一気に日銀という仕手筋の仕手崩れ相場となっている。中央銀行バブルが崩壊すれば、リーマンショックをしのぐ危機に発展する可能性がある。

今は1937年と同じというレイ・ダリオの警鐘
 「Dalio warns Fed of 1937-style rate risk(「FRB次第で37年リスク再来も」ブリッジウォーターのダリオ氏)」(2015年3月11日 ブルームバーグ)で、レイ・ダリオは「FRBの利上げペースが速過ぎる場合、1937年と同じような相場の大幅下落を引き起こすリスクがある」と警告した。

現在の状況を見れば、やはり米国の利上げは時期尚早だったのである。世界的な景気の悪化で昨年は欧米の大手銀行11行が従業員の1割にあたる10万人を削減したが、金融機関は現在のような事態はブラックスワンではなく必然と考えていたようだ。

日・欧の緩和継続はまだ続くが、金融危機への対応として起こった中央銀行バブルは、最後には悲惨な結末を迎えるだろう。バブル相場は人の気持ちを高揚させる、だが、2016年相場は人為的な価格形成が崩壊する<終わり>も考えておく必要があるだろう。

中央銀行が値付けをしている現在の中央銀行バブル相場を「あまりにもばかげている」と語る債券の帝王ビル・グロスは、「中央銀行バブルに慣れきって、投資家は長い間試練を与えられてこなかった」と語り、「長期停滞でゼロ金利、債務危機回避が困難なことから、資産市場では終わりの予感を感じにくい。

理性的な投資家は、リーマン危機再来とは言わないまでも、中央銀行バブルの終わりの予感を感じている」と語っていたが、「あまりにもばかげている」官製相場と大本営発表相場の本質が、2016年に入り世界中の投資家に知れわたってしまったのである

民主主義の指導者たちは気づいていた。手っ取り早く民衆の支持を得られるのは、民衆を結束させられる戦争があるときしかないと。だからこそ、いたずらに暴力的な問題に手を出し、戦争を作り上げ、民心を惑わそうとする。

そして、その権力を確固たるものにするため、自分たち指導者の立場を重要なものとする法規を作る。また、庶民が支配者に反抗できない、あるいは反抗を望まないよう徹底するため、重税を課す。

(中略)指導者たちに異を唱える者は、誰であれ、敵のレッテルが張られ、スパイとして迫害される。(中略)私たちは、おかしな時代を生きることになる。老いも若きも嘘を教え込まれ、思い切って真実を語る者は、すぐに狂ったバカ呼ばわりされるのだ」とマーク・ファーバーは、怒りを隠さない。



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