エロティック土器展示室。展示品。
ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館。2015年6月20日(土)。
展示品。
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展示品。
解説シートの一部から抜粋。展示品とは一致しない。
生殖に結びつく性行為を行う先祖の男女像。
相手の性器を刺激する祖先の男女像。サリナール文化。
アイ・アパエック神と女性の結合。
「これは、屋内でなく野外において、神が性行為を営む情景である。小さな小屋の屋根の上から、唇と鼻、両足を切り取られ、戦闘用の棍棒を手に持った人物が、その様子を見張っている。
一方、家の前には、やはり身体の一部を切り取られた別の人物が座っている。
女性の性器から灌木が生え育っている。その枝には女性器によく似た、中央に縁の入った楕円形の実が数多くなっている。さらに猿たちが枝の上に登り、神によって受胎した灌木の結実を袋に採りこんでいる。
一方、アイ・アパエック神の前には、象徴的な木の実を保管するためらしい箱と、鐙型土器、また双頭の蛇が描かれている。双頭の蛇は、この器に合計3匹現れている。さらに、神に向かって歩く2人の男性と、その後ろに続く女性1人が描かれている。
1人目の男性は、小さな器を手にし、首の後ろに袋を掛けている。2人目も同様に器を手に持っているが、背面に掛けているのは、首級(人間の頭)を象った袋である。最後の女性も、やはり手に小さな器を持ち、背中には子供をおぶっている。さらにその後ろに、荷物を背負ったリャマが続いている。3人の人物たちは、いずれも参拝を行っているかのように、両腕を高く揚げている。」
ラファエル・ラルコ・オイレ著。「チェカン」の一節。
アイ・アパエック神と女性の結合。
モチェ文化の人々は、これらの宗教的な土器において、美しいレリーフを用いて神秘的な思想を表現した。
この器では、神は小屋の中で女性と結合している。その横には、神と常に行動を共にする犬と、忠僕である擬人化されたトカゲとが、祈祷に向かいつつ、儀式的な性行為を見守っている。一方、擬人化されたカツオドリやハチドリが、この性の儀式に参加している。そのうちの一羽が、小さな器に入った液体を火にくべてかき混ぜている。一方、同じ容器を持つ擬人化されたカツオドリが、その中の液体を神と女性の性器にふりかけている。」
「モチェ文化の人々は、これらの情景を通して、神を受胎の中心的権力として位置付けようとした。愛を神秘化することで、愛は世界を形成する力、あらゆる生命を生み出す激しい力であることを証明しようとした。さらに、神に男性の性的能力を持たせることによって、本能や官能などを昇華させ、命そのものであることを示したのである。」
ラファエル・ラルコ・オイレ。「チェカン」。
これらのモチェ文化の象形土器に表現されている男性の中には、ネコ科動物の牙や蛇のベルトなど神話的存在であるアイ・アエペック神に似た特徴を持つ人物もいる。
また全員に共通しているのは、下着をつけず性器を見せているという点だ。細いペニスは、勢力の衰えを示している。
また、性器周辺やその他の身体の部分は、クスノキ科ネクタンドラ属の木の実と同じ形のできものに覆われている。この果実は小さな陰門の形をしていることから、象徴的に女性の世界と関連づけられている。男性が身体を掻くことで、この果実が剥がれ落ち、すぐ傍らの器に集められている。まるでこの男性は女性に変身し、男性らしさや精力の全てを失ってしまったかのようである。唯一身に着けているベルトと耳飾りは母体の子宮と同じく湿った内部世界に結び付けられる。すなわち女性的な装身具である。
この情景は、アイ・アパエック神の神秘的なサイクルの一部を示していると考えられる。アイ・アパエック神の壮大な旅は太陽の輝く男性的な世界から始まるが、内部世界に入り、老いて死んだのち、最後に力を回復し、女性の相方と出会ったのち、外部世界へと回帰するのである。
モチェ文化の器。
この容器は地下(死者)世界の住人である骸骨の男性が性的能力を持っている様子を表している。男性器は誇張した大きさで表現され、この男性の射精能力を強調し、地下世界を受胎(=肥沃に)させる存在であることが示されている。
モチェ文化の土器。
肛門性交と地下(死者)世界との関連性は、死者の顔を持つ人物が生殖に結びつかない性行為を行っている様子にうかがうことができる。
モチェ文化の土器。
カエルとネコ科動物の結合。
「我々は、ネコ科動物がカエルと交尾する様子を表す土器を発見した。カエルは水の世界を、ネコ科動物は地上を象徴する動物である。この2匹が結合して生まれたのが、ジャガーの耳を持つカエルである。このようにして、水と大地の融合が実現したのである。
ほかにも、ジャガーとカエルの合いの子とジャガーが交尾すると、その脇腹からユカ芋の生える様子を表す土器などが多く見つかっている。この場合、ジャガーは植物界を象徴している。また、この結合によって生まれる第2の子供は、カエルとジャガーの特徴を備え、その身体からは植物の芽が生えるのである。この象徴的な図像は水・大地・果実の結合の結果、すなわち農耕の神の姿を表している。モチェ文化の人々はトウモロコシの収穫を司る農耕の神を重視した。収穫にはアイ・アパエック神が主な家臣とともに参加し、トウモロコシの穂を脱穀した。」
ラファエル・ラルコ・オイレ著「チェカン」の一節。
動物の交尾。
「古代アンデスの芸術家たちは、動物を細やかに観察した。動物たちの交尾の姿勢や、そのさいの動きや表情を余すところなく捉えた。
リャマは地面に座りこんだ姿勢で、ネコ科動物は背面から交尾を行う。カエルは雄が雌の上に乗る。ネズミの交尾に関しては、雄が雌に贈り物として手渡すピーナツとともに表現されている。そのさい、雌ネズミがむしろ食べることに集中しており、交尾の最中であることには無関心な様子の描写には感心させられる。
これら動物の交尾を表す土器も、副葬品であったことは明白である。モチェ文化の人々はあらゆる種の生殖や繁殖の記録を残そうとしたのだ。」
ラファエル・ラルコ・オイレ。「チェカン」
これらの土器は、神聖な存在同士の性的結合の様子を表している。器の形状は地中で育つ塊根類がピーナツなどの植物や鳥、コウモリ、人間、神話的な存在などと融合した形で表現されているように見える。
17時ごろに3時間ほどの見学を終え、複雑な路線バスを乗り継いでミラフローレスの宿へ帰還。
翌朝はこれに懲りて、タクシーでリマ空港へ行き、10時30分の便でクスコまで飛んだ。