エロティック土器展示室。
ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館。2015年6月20日(土)。
展示室。
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解説シートの一部から抜粋。展示品とは一致しない。
先祖の英雄と、大地の力を象徴し新たな命を生み出す女性(パチャママ)は、地下世界である内部の空間で結合する。母なる大地は、男性の力によって、挿入、射精され、受胎する。
生殖を目的とした男女間の結びつきは、先祖を対象とした交わりの場合、神話的な意味合いを持つ行為となる。
交わる男女の様子を表す象形土器。男女ともに、地位の高さを示す装身具を身に着けている。一方、女性は化粧を施し、首飾りなどを使用していることから、社会的地位の高い人物であることがうかがわれる。
古代アンデスでは、粘土に様々な形が与えられた。これらの壺や器は女性器を詳細に表現し、女性の身体との象徴的な関係性を築いている。生身の女性が体液を持ち、受け入れ、与えるのと同様、これらの容器は液体を受け、保存し、注ぐことで「命」を与えられている。
北海岸に由来するこれらの象形土器は、人間の身体を表現している。長い衣装や口元のピアス(ラブレット)などから、女性であると考えられる。頭部は陰門の形を模している一方、唇の間にはクリトリスが表されており、1300年以上前の時代、既に女性の身体に関する詳細な知識が存在したことを示している。
「擬人化された陰門」が「ティンヤ」とよばれる太鼓をばちで叩いている。ティンヤは革製の軽い太鼓で、主にアンデスの農民の女性が、農耕の踊りや行事のさいに奏でるものである。太鼓の音は、子宮の中で感じられる母体の心臓音にも似ている。太鼓は植物の成長と、この世における命のつながりを保証する内部(地下)世界に関連づけられている。
モチェ文化の土器、AD1世紀~8世紀。
器の内側に、女性が受け身の姿勢で表現されている。器に液体を注ぐと、液体は女性の身体に吸収され。器は乾いた状態に、女性の体の内側は湿った状態となる。
アーチ状の持ち手のついた土器は、やはり受け身の姿勢の女性が両足を抱えた状態で表されている。これは性交のさいに見られる姿勢である。この象形土器で目を惹くのは、アーチが心臓と女性器、つまり血液の循環する臓器につながっており、儀礼用の器の中で、液体や空気が通る径路を作っているという点である。
これら土器に表されている女性の姿勢は先祖の埋葬に関連する生贄の儀式の女性の姿にも似ている。
肛門性交を行う男女。男性はターバンを、女性は首飾りを身に着けているほか化粧を施しており、共に身分の高さを表している。このような形態の性行為は、宗教層の中で秩序の転換の時期を示している。
肛門性交を行う男女。男性はターバンを、女性は首飾りを身に着けているほか化粧を施しており、共に身分の高さを表している。
このような性行為によって、異なる世界に接触しようとする意図は、壺本体の表面に描かれた波や交差する半渦巻きなどの文様に表現されている。
モチェ文化の壺。
これらの器では、男女間の様々な性交の場面が立体的・写実的に表現されている。
これらの土器は、男女と共に乳児が表現されていることから、生殖能力との関連性が明瞭である。
乳児は時に女性によって授乳される姿で表されている。
女性がより大きなサイズで表現されている土器があるが、これは女性の社会的地位の高さを表していると考えられている。
モチェ文化の土器。
これらの器は、男女が交わる様子を表現している。女性は男性の上に、より能動的な姿で位置している。
壺の持ち手の内部は液体の通り道となっており、土器の内部と外部を、さらに女性の身体と土器の内部をつなげている。
肛門性交による結合は様々な古代アンデス社会の芸術に表現されている。古代アンデスの職人らが、器やその持ち手や注口の位置を使って、男性による女性の身体への挿入の様子を土器に表現しているのは興味深い。ほぼ全ての場合において、土器の内部における液体の通り道と、性行為を結び付けようとする意図を読み取ることができる。
サリーナル文化、ビクス文化、シカン文化、チムー文化の土器。
古代アンデスの様々な文化で作られたこれらの器は、単なる容器以上の意味を持っていた。これらは、内部に水その他の様々な液体や空気を保管し、これらを外部世界とつなぐ象形土器であった。
これらの器は、農耕、葬儀。祭儀、食事や飲み物の出される饗宴、舞踊、行列など様々な活動や儀式で使用された。
男性器を象った土器は、象徴的に大地を肥沃にさせる役割を持っていたと考えられる。
これらの器では、男性器は擬人化されて表現されている。鼻を押さえたペニスが、陰門を通って女性の身体に入っている。モチェ文化の土器は、土器の表面に女性の陰毛や睾丸により接触・圧迫されている様子を巧みに表現している。つまり、女性の身体そのものは、この土器の外部(周辺)にあるという設定である。
女性の身体を表現したこの土器は、誇張して表現された女性器の部分が、液体の出入り口となっている。女性は出産時の、あるいは性交時の体勢をとっているように見える。この土器は、女性が受胎するさいに、その内部に液体が流れ入り、また出産のさいに液体が流れ出る様子を象徴している。
授乳する女性の姿は、古代アンデスの北部および南部の様々な文化において、かなり早い時期から表現されている。女性の身体は壺や器に、立体的・平面的に表現される一方、乳児は母親に抱き付いて母乳を飲む姿が表されている。
女性は、それぞれ社会的役割や地位、具体的な人物、または先祖の女性であることを表す特徴を有している。これらに共通しているのは、命や栄養を与える女性の身体が、液体を保管する壺や器として表現されているという点である。
これらの土器では、妊娠・出産の様子を見ることができる。座った姿勢の妊婦は、背中から別の女性に支えられている。一方、出産の光景を表現している別の土器では、開いた膣から生まれようとする赤子の顔が覗いている。
これらの象形土器は、母体の子宮内である暗い湿った世界から、外部世界への移行を表現している。