国立台湾史前文化博物館への道順。台湾鉄道康楽駅。台東市。
2016年11月30日(水)。
卑南文化公園の見学を終え、国立台湾史前文化博物館の最寄駅である康楽駅へ向かった。康楽駅は台東駅の西隣の駅で、台東駅12時50分発の列車に乗り12時59分に到着。降車したのは私一人であった。駅舎出入口の上部に道順が記してあった。
駅の周辺は畑ぐらいで店はない。職業訓練学校を通りすぎると、10分ほどで博物館の前庭に着いた。
国立台湾史前文化博物館。
敷地面積は約10ヘクタールと広大。建物も大規模なので、見学時間が長く必要になるかと心配したが、展示スペースは右側の2階分とほどほどの分量だった。
台湾国内で考古系の博物館はここしかない。人類学・民族学・自然史と併せて研究施設ともなっている。
復路の台東駅行きは康楽駅17時5分しかないので、博物館入館時に台東市内・旧台東駅へのバス便がないか、受付で尋ねたら、16時25分に受付近くからのバス便があると教えてくれたので、見学時間はこれに合わせることにした。
館内のレストランで昼食をとり、展示室に向かった。
イノシシを捕獲して運ぶ古代台湾人の列。
展示室前に狩猟を終えた古代人たちの姿が実物大に復元されている。
展示順路が分かりにくい。2階の原住民文化コーナーからB1階の考古学コーナーへ行く階段が分からず、職員に尋ね、考古学コーナーも時代順を逆に見学してしまった。
卑南文化。
卑南遺跡。
中央下の山裾が卑南遺跡。その右に台東駅。右上が卑南大渓。
卑南遺跡は卑南大渓の河岸段丘上にあり、3000年前は川岸に近接していたようだ。
埋葬の状況。再現。
石棺には家族が順次埋葬され、再利用されていた。石棺は家屋の下に位置しており、室内葬という様式であった。
埋葬の状況。再現。
埋葬の状況。再現。
石棺。
標準的タイプ。
石棺。
スレートを鱗状に数枚繋げたタイプ。このほか、頭部のみ覆うタイプもあった。
抜歯風俗。
成人を示す通過儀礼。生きるための勇気の象徴とされた。原住民の風俗として残っていた。
副葬品。
卑南文化人は陶製の壺とヒスイ製の玉器とともに埋葬された。壺は日常使用するものより小型で特別な形をしていた。ヒスイ製の斧と鑿は特殊なもので埋葬儀式に際して制作された。
石棺には必ずしも副葬品が随伴しているわけではない。死者が子供の場合は50%以下で、成人の場合は約70%が随伴している。副葬品は死者の階層と富により質と量の違いがある。
双人獣形耳飾り。軟玉(ネフライト)製。
高さ7㎝、幅4㎝、厚さ0.45㎝、重さ16.7g。ヒスイには硬玉と軟玉がある。
手を腰に当てて並んだ二人の人物の頭の上に背を丸めて耳と尾を立てた獣が乗っている。
優美な造形をした精緻な作品である。
実物は貸出中であった。
鈴形玉串飾り。軟玉(ネフライト)製。
152個の鈴形のヒスイ製玉が繋がれており、頭飾りと推測される。玉の大きさは長さ0.6㎝、幅0.5㎝、厚さ0.35㎝、重さ0.1g。
小さい玉を穿孔するには高い技術が必要であった。
鈴形玉串飾り。
玉管。軟玉(ネフライト)製。
長さ29㎝、直径0.94㎝。5本で1組となっている。玉管の長さ29㎝は卑南遺跡から出土したなかで最長のものである。
円柱状に成形したあと、両端から鑿で管状にするという超絶技巧の優品である。
玉管。
ヒスイ製副葬品。
耳飾り、ペンダント、玉壁、斧など。
ヒスイ製耳飾り。
陶罐。取っ手のある陶製の壺。
陶罐。陶製柄杓。
石器。
石刀。打製石斧。
不明。石包丁に似ている。
国分直一は粟の収穫用と推測している。
石製槍の穂先。