キム・カーンズKim Carnes Bette Davis Eyes「ベティ・デイビスの瞳」
キム・カーンズはロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター。1972年にレコードデビュー。1980年にケニー・ロジャースとのデュエット曲がヒットした。
Bette Davis Eyesは1981年に全米で9週1位という記録的な大ヒットとなった。年間チャートでも1位。グラミー賞の最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞を受賞した。
この曲は1974年ジャッキー・デ・シャノンが歌い同年にアルバムに収録した楽曲(シングル化はしていない)をカバーしたもので、曲はジャッキー・デ・シャノンとドナ・ワイスの共作。
ジャッキー・デ・シャノンは古くから名前だけは知っていて曲は聴いたことがない。1956年から1980年までシングルをリリースしている。ジャッキー・デ・シャノンの同曲をyoutubuで聴いたが、まるで別物だった。
キム・カーーンズ版はシンセサイザーによりアレンジを変えている。
ハスキーボイスというより、しゃがれた音質で、しかも音域が狭いが、味わい深さを生み、馴染みやすいメロディーで、かつブロンド美人であったのが幸いした。
ベティ・デイビスの名前は知らなかったが、大女優であったということは教えられた。
ベティ・デイビスはそのとき、73歳で、キム・カーンズ、ジャッキー・デ・シャノン、ドナ・ワイスの3人に礼状を書き、「ロック世代の一員となり、現代に蘇らせてくれて、孫息子からも見直された」と喜んだ。
キム・カーンズはベティ・デイビスが1989年に亡くなるまで何度も自宅を訪れた。
ベティ・デイヴィス(Bette Davis, 1908~1989年)はハリウッド映画史上屈指の演技派女優で、大きな瞳と個性的な顔立ちで知られる。1934年デイヴィスは、彼女の女優としての運命を変える事となった名匠ジョン・クロムウェル監督の『痴人の愛』(原作はサマーセット・モームの『人間の絆』)と出逢う。ヒロインであるミルドレッドは、それまでの英米文学史上に描かれることの無かった史上最低最悪のヒロインと呼ばれたほどの悪辣な女性像であった。『痴人の愛』が全米で公開されるや否や、そのデイヴィスの憎たらしいまでの強烈な存在感と悪女ぶりが大評判となり、批評家や評論家も彼女を激賞した。
1962年、ロバート・アルドリッチ監督の異色作『何がジェーンに起ったか?』で強烈な復活を印象付けた。この映画におけるデイヴィスの狂乱の演技は凄まじく、映画ファンのみならず、業界人や評論家までもが度肝を抜かれた。この作品は、彼女のキャリアの中でも、重要な作品であり、特に50年代中期より作品に恵まれなかった本人にとっては、起死回生の大ヒットを記録した。
「男がやると尊敬されるが、女がやると嫌われる」とは、ベティ・デイヴィスの最も有名な言葉で、男性優位社会のハリウッドや男性と女性の社会的地位の差異を痛烈に批判した言葉である。
この言葉は、アメリカン・ニューシネマのヒロインとして活躍したフェイ・ダナウェイやジェーン・フォンダも、時代は変わってもハリウッドは変わらず「ボーイズ・タウン」であることを皮肉り、二人ともにデイヴィスの言葉を引用して辛辣な発言を多数残している。