岡山県玉野市宇野港。香川県直島行きフェリー。平成
26年5月17日(土)。本日は玉野市の宇野港を起点として、直島と豊島を見学した。前日は犬島を見学したので、ベネッセ・アートサイトの常設3島を見学できた。ただし、全部は無理で、直島は地中美術館、家プロジェクト、直島銭湯、豊島は豊島横尾館のみ。直島・豊島は香川県だが、岡山側からの方が近い。直島の地中美術館は出来たときから知っているし、トリエンナーレも日曜美術館などのテレビ映像は見ている。現代美術にもさして興味がないので、混雑した様子を見ると行く気にはならなかった。コンセプチュアル・アートははまれば面白いが、波長が合わなければ全くつまらない。今回の中では豊島の横尾忠則の作品が面白かった。
玉野市の道の駅「みやま公園」を出て、8時22分発直島行きのフェリーに乗ろうと宇野港へ向かった。JRの線路に沿って突き当りのフェリーターミナルに行くと、東の埠頭前に直島行きと案内があった。駐車場に入ろうとすると、料金が高い。ターミナルの職員に尋ねると、ヤマダ電機裏の駐車場は1日500円で、しかも直島行きの乗船場はそこではなく、西にあると教えてくれた。駐車場から、宇野駅前を通り、5分ほどで乗船場のビルに着いた。欧米人も含め大勢の客が待っていた。船賃は往復560円。
実は、豊島に行くことは考えていなかったが、入手した時刻表を検討すると、11時55分直島・宮浦港出航の高速船に間に合えば、豊島を往復して、直島に帰り、家プロジェクト見学も可能と気が付いた。そのためには、島内バスの本数も限られているので、地中美術館を早めに見学することが必要であった。8時22分に宇野港からフェリーは出航した。
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年前に高松行き宇高連絡船に乗って以来の宇野港。島の間の狭い水道を進む。
直島の宮浦港が見えてきた。
20分で到着。宮浦港。草間彌生の「赤かぼちゃ」がある。中に入る人もいた。
9時6分発の町営バスに乗車、つつじ荘9時18分着。地中美術館方面への無料シャトルバスもあるが、しばらく便がない。屋外展示作品を見ながら徒歩で地中美術館へは30分ほどで着けるらしいので、海岸沿いに遊歩道を歩くことにした。
屋外作品。草間彌生。「南瓜」。
1994年。ベネッセハウス・ビーチ。屋外作品。ニキ・ド・サンファール。「らくだ」。
1991年。屋外作品。ニキ・ド・サンファールのオブジェとダン・グラハムの「円筒」。
ベネッセ・ハウスと修景された池。
屋外作品。ニキ・ド・サンファール。「腰掛」。
1989年。ベネッセハウス・ショップの入口。ベネッセハウス・ミュージアム付近の高台から西の海岸線。しばらく歩くと、出勤する職員や欧米人夫婦に出会った。
地中美術館。チケットセンター。
9時50分頃に到着。シャトルバスは到着していたらしく、窓口に客はいなかった。2060円の入館料は高い。急いで地中美術館の入口へ向かった。地中美術館の入口。チケットセンターから
2分ほどで着いた。15人ほどが10時の開館を待っていた。奥の坂道から係員が10時に来て、入場案内をした。昨日の犬島精錬所美術館で少人数ガイド制見学を経験していたので、先頭を歩き、コンクリート壁の間を登って、展示室へ一番最初に着き、ジェームズ・タレルの作品室を一人だけで体験することができた。作品には光のトリックが仕掛けられていた。部屋を出ると、やはり行列していた。次はクロード・モネの部屋。睡蓮の展示。これは大したものではない。次の展示室へは順路が分かりにくい。ウォルター・デ・マリアの作品展示室。階段の上に球体が置いてある。球体に反映される自分の姿が面白い。ただそれだけだ。日の出から日没まで作品の表情が変わると書いてあるが、そんな長時間鑑賞できるわけがない。
中庭に石が並べてあり、段差のある石の間を歩く。白人の子供が楽しげに遊んでいた。
2060円とは思えない作品量のため、あっという間に美術館の見学を終え、シャトルバスのバス停があるチケットセンターへ向かった。
地中美術館の遊歩道。道路下に遊歩道があり、その脇を小川が流れ、西洋風の花が咲いている。
地中美術館の遊歩道。チケットセンター寄りの起点にある池。睡蓮の池をモチーフにしているようだ。
宮浦港11時44分着のバスはつつじ荘11時30分発で、チケットセンターから11時に出るシャトルバスに乗ればよいことを、チケット購入のときに聞いておいたので、余裕でシャトルバスに乗れた。
「崇徳院の歌碑」。 「松山や まつの浦風吹きこして しのびてひらふ 恋わすれ貝」。つつじ荘の中にある。崇徳上皇は保元の乱に敗れて讃岐に配流となり、その途中の三年間を直島の行在所で過ごしたという。琴弾の浜で、恋を忘れられるという忘れ貝を拾い京の都を恋うる想いを詠まれたという伝承が残っている。
つつじ荘のバス停で待つ間、「おやじの海」歌碑で歌を聴いたりする人もいる。
豊島経由犬島行き高速旅客船。
11時44分に宮浦港で町営バスを降り、海の駅に入って、豊島に行きたいと尋ねると、ビル内の券売機で乗船券を買って、北へ3分ほどの小型船桟橋へ行けと言われたので、急いだ。11時55分に出航。
直島北部の工場地帯。直島は、江戸時代には幕府の天領となり、瀬戸内海の海上交通の要衝を占め、海運業や製塩業の島として栄えた。大正
6年になると三菱鉱業、現在の三菱マテリアル直島製錬所が設立され、島は発展を遂げたが、島の北半分および周囲の島々の木々は煙害でほとんど枯れて禿山となってしまった。直島北部の工場地帯。
2003年以降は香川県直島環境センター(豊島産業廃棄物等中間処理施設)などが建設されている。直島北部の工場地帯。
豊島横尾館。横尾忠則と建築家永山裕子により、集落の中にある古い民家を改修して造られた美術館。
豊島の家浦港に12時17分に着き、13時35分に直島の宮浦港行きに乗船するまでの1時間ほどを利用。唐櫃地区の美術館へは、バスはあるが不便。レンタサイクルは家浦港で利用可能だが、船便が少ないので、島全部回るのは時間を要す。
船着き場に案内図はなく、豊島横尾館の場所が分からなかったが、東に歩いて家浦港に行くと案内地図があった。港から南西へ5分ほどの場所に横尾館はあった。
豊島横尾館。入口。赤いガラス壁が眩しい。中庭の糸杉が見える。母屋・倉・納屋を展示スペースとして、絵画作品
11点を展示している。庭や母屋には彩色された川が流れ、鳥や魚がいる。「死の島 ベックリンに基づくⅡ」2012年など、「生と死」を想起させる絵画群は素晴らしかった。Y字路の絵画もあった。70年代までとY字路シリーズは知っていたが、横尾忠則の作品に感動した。港へ戻る途中、雑誌の付録を無料配布している商店に立ち寄った。
遠ざかる豊島・家浦港。犬島から高速船が入港し、
13時35分に出航した。発券所と乗船場が離れているので焦った。豊島。右側の島北西端地区に産業廃棄物の不法投棄場所があるようだ。私には豊島といえば、産廃の島としてしか思い浮かばない。
直島の北東の海域。産廃積載船なのか、変わった船型の船が航行していた。
13時57分に直島・宮浦港へ戻り、直島銭湯や家プロジェクトを見学した。