噴火する御嶽山。飛騨萩原・御前山頂上から。平成26年9月28日(日)。
岐阜県下呂市飛騨萩原の御前山は霊峰御嶽山遥拝の頂として有名な山である。御嶽山の黒沢口を開いた覚明行者がこの山に登って開山の祈願をしたと伝わる。
御嶽山には毎年1回は登ることにしており、本年は8月の降雨が多かったため、遅れに遅れて2週間前の9月14日に登ったばかりであった。当日はやはり晴天を待ち望んだ登山者が集中して、27日とは比較とならないぐらい田ノ原駐車場も登山道も大混雑していた。
登山の数日前に新聞で火山性震動が観測されていることを読んでいた。1979年の噴火も勿論知っていた。しかし、まさか噴火するとは思っていなかった。ただ、王滝頂上前で、カップルで登っていた20代後半の女性が、火山のことをつぶやいたので、火山性震動のことを教えたが、知っている人は少なかったろうと思う。田ノ原から王滝村からの放送が流れてきたが、火山性震動のことを伝えていたような気がする。
晴天を狙って、次の連休や27・28日も御嶽山に登ろうかと思ったが、未踏の手頃な山にしようとして、26日(金)に飛騨萩原の御前山を選定した。御前山は17年ほど前から登山対象に考えていたが、登りづらい印象から後回しにしていた。27日(土)の昼から準備をしようとしていた時に、御嶽山噴火の情報が入り、驚いた。YOU TUBEの動画を見た時には、さほどひどい状況とは思わなかったが、15時頃からマイカーに乗りながらNHKテレビを見続けていると、7人が心肺停止という続報が入り、これは只事ではないと実感した。
27日(土)15時30分にヤマケイ分県登山ガイドのコピーを終え、名古屋市諸山区から本日の泊地とした道の駅「白川」に向かい、17時55分に到着。
飛騨萩原・御前山。桜洞登山口駐車場。
9月28日(日)、5時30分に起床。袋ラーメンを煮て食べたりして、7時に登山口へ向かった。ネット情報により、4合目の桜洞登山口まで車のアクセスが可能と判断していた。飛騨萩原駅から広域林道に入った。道標が要所に完備され迷うことはなかった。
3合目の水洞に着くと、東屋の方に作業車らしい車が数台いた。50m手前の山側坂道で悪路と書かれている林道を登った。石の多い箇所もあるが通行に支障はなく、林道終点の桜洞登山口に8時に到着した。8台ほどの駐車枠がラインどりされているが、1台もいなくて拍子抜けした。準備をしようとした時に、先ほどの車が2台到着。地元の人たちで、登山道整備とのことで、8時15分頃に登山口を出発していった。
飛騨萩原・御前山。桜洞登山口。8時42分に出発。
30分後に鳥居地点で地元の人たちに追いついた。渓流の左岸を登っていく。赤テープを見失わなければ問題なく登山道は続くが、7合目手前のガレ地で高巻く箇所があり、赤テープを上部に見つけるのに苦労した。ここから岩伝いの渡渉が数か所ある。
苔の着いた岩や木の根が滑り易い。しばらくすると、30歳代のカップルに追いついた。3合目水洞に車を置いて登ってきたとのこと。あっという間に追い越して、9時51分屏風岩の眺望地に到着。左を振り返って屏風岩を確認。
岩と木の根の間をさらに登ると、10時15分に「あと30分」表示地点を通過。15分ほどして、右上に山頂部らしきものが見えてくるのに、登山道は逆に左に振られていくので、本当かと思いながら、ササでズボンをずぶ濡れにしながら登っていく。
左右どちらかかなという地点に出て、右に登山道を見つけると、登り易くなって山頂部が見えてきて、10時44分に山頂へ到着。私が本日の一番乗りのようだ。桜洞から山頂までの歩行時間2時間2分、コースタイムは2時間30分。
御前山。山頂。標高1646m。一等三角点。御嶽山の真西に当たる。山頂下に雲があるが、ほぼ快晴。噴煙が南にたなびいている。ここは御嶽山の絶好の眺望地であった。
御前山。山頂。観音堂。織田信長が岐阜城在城中、鬼門除けとして建立したもの、背後に山頂より高い岩が聳える。左から回り込めば、簡単に岩上に達することができる。古代人の巨岩信仰の地でもあるようだ。
御嶽山の噴火。御前山山頂から。
山頂の南西下部に噴火口が認められる。
動画も撮影していると、11時10分頃、先ほどのカップルが到着。美濃加茂市から来た夫婦らしく、まだ登山を始めて3か月ほどという。やはり、御嶽山登山を予定していたが、急遽変更したとのこと。昨夜は飛騨萩原駅前で車中泊。水洞登山口を7時に出て、山頂まで4時間以上かかった。途中、道間違えをして、帰ろうかと思ったという。私は色々アドバイスして差し上げた。11時40分頃、反対側の上村ルートからやはり地元の人たち8人ほどが登山道整備をしながら、山頂に到着したので、雑談タイムがまた延長してしまった。
御前山登山案内図。上村ルート登山口。上村ルートはネットで読んでいたので、様子を尋ねると、尾根通しで歩きやすく、尾根を下って基幹林道を3㎞歩けば水洞に着くとのことなので、予定を変更して上村ルートを下ることにした、桜洞ルートは滑り易く、危険に感じたせいもある。ただ、地図はない。
12時2分に上村ルートを下山開始。
焼ケ原から御前山山頂部。右に御嶽山。上村ルート9合目にある焼ケ原は古代山岳寺院の跡という。送電塔のほかには何も痕跡はない。上村ルートは高原状の登山道が続き歩きやすいが、距離は長い。危険な箇所がないので安心。
焼ケ原から御嶽山の南西部噴火口を望む。
地元の人から分岐は右へ(西方向へ)行けと言われたことを参考に下っていく。ただし、上部を過ぎてからは、途中右下へ下る枝道が数か所あったが、分からないので上村への本道を下っていった。途中、プラロープの補助がある地点が急傾斜だが、それほど続くわけでもない。観音や展望所も数か所ある。
上村ルート。峠登山口。尾根を下って、右下に林道が見えた地点で、分岐があり、右の峠登山口へ13時35分頃到着。ここには駐車場がある。この先は登山道はなく、林道のみ。ただ、峠登山口から右へ歩いたのが間違いで、舗装道ではなかったので、引き返し13分ほどのロス。
上村ルート。基幹林道登山口。峠登山口から左へ砂利敷きの林道を下っていくと、14時頃、舗装道に着き、安心した。ここから基幹林道を3㎞歩けば、水洞へ着く。しかし、さすがに足は重くなって、14時40分ようやく、水洞に到着。地元の人たちの車が20台近く駐車していた。坂道の入口で、休憩中の地元の人から、これから登山かと尋ねられたので、周回して桜洞で車の回収だと答えた。
15時00分に桜洞登山口に到着。地元の人の車2台はまだ残っていた。登山口にあるアンケート用紙に記入して、長い一日が終わった。