南地区から北のタヒン・チコ地区へ遊歩道を東から大廻りして西へ向かい、上り坂を登り切ると、タヒン・チコ広場の一段下に出た。手前右側は建造物Ｅで藁ぶき屋根が半ば葺かれて状態であった。
正面奥の丘が、石柱殿（円柱の館・列柱の建物）のあった区域。
古典期中期になるとタヒン・チコを中心とした北半分が建築活動の中心になり、テラス状に小高くなった自然地形を利用し、標高150mから170mの部分に建造物AからVまでのピラミッドや神殿が築かれた。この都市全体で最も壮大な王・貴族・神官などの支配階層の居住区及び行政的な建築物が集中している。
南地区の建造物の主軸方位はほぼ南北方向であったが、タヒン・チコ地区はやや傾いた東西方向に変わっている。
基壇の上には部屋のある建物が４部屋建てられており、各部屋はミニチュアの球戯場で区切られている。四つの球戯場は十字架状に組み合わされており、それぞれは神話上の宇宙の方向を指し示している。ミニチュア球戯場と部屋は基壇を巡って放射線状に配置され、その中央に宇宙の中心と考えられていた小さいピラミッド状の基壇が置かれていた。
建造物Ａの中央には狭い階段状通路があり,左右横の欄干状の枠石組みには、互い違いに配列された雷文が装飾されている。
建造物Ａの中央には狭い階段状通路があり、上部は石を内側にずらして積んでいくマヤ文明式のアーチスタイルになっている。
直径１ｍほどの円柱が並んでいたが、現在は修復中で見学できない。円柱にはレリーフの石彫が見られ、「１３のウサギ」王が性器を丸出しにした捕虜の髪の毛を後ろからつかむ場面などが浮き彫りで描かれていた。
建造物Ａの南から東方向を眺める。建造物Ａの左奥が建造物Ｂ。その右が建造物Ｃ。
建造物Ｂの下段にタヒン・チコ広場の位層から下がった各レベルに建造物群が連なっているが、未整備な状態のままであった。
東から西へ緩やかに高くなる傾斜に合わせて基壇が造成されている。
「タルー」(Talud)と呼ばれる斜面部分の基壇と「タブレロ」(tablero)と呼ばれる直線的で平坦な基壇部分の組み合わされたメソアメリカの共通するタルー・タブレロ様式の建築であるが、タブレロ部分の上にオーバーハングしたひさしが付加されているのが、エル・タヒンの特徴とされる。
雷文の装飾も間近に見られる。
左奥に藁葺き屋根の建造物Ｅが見えている。
壁龕のピラミッドが右奥に見えている。
タヒン・チコ地区は、支配階層の居住区として、南半分からは意識的に切り離す形で建設された。
タヒン・チコ地区は見学区域が少ない。遺跡見学を終え、入口へ帰る。
１１時２０分頃、１時間余りで遺跡見学を終え、幹線道路のバス停へ歩いていった。
ほどなくパパントラ行きの市バスに乗車。往路とは違い、ハラパとポサ・リカ間の幹線道路を通り、１２時頃、歩き方記載のバス停で下車。ホテル「カサ・ブランチ」へ戻り、ザックを回収して、１等バスターミナルへ初めて向かう。小規模な待合室とヤードのあるバス・ターミナルであった。幹線道路へ戻り、パンを買って昼食とした。
１３時５分にポサ・リカ行きに乗車。１４時３０分ポサ・リカからメキシコ・シティ行きのバスに乗車。車窓左側に雪を頂いた山並みを過ぎるとほどなく、渋滞の激しいメキシコ・シティ市街地に入った。２０時頃、東方面バスターミナルに到着。メトロに乗って、イダルゴ駅で下車、久し振りに「サンフェルナンド館」へ戻った。
旅行の前半を終え、１１月２２日（土）、２３日（日）はメキシコ・シティの見学。世界遺産ルイス・バラガン邸、国立自治大学、クイクイルコ遺跡、フリーダ・カーロ博物館、トロツキー博物館を見学。２４日からは中央高原北西部のサカテカス、グアダラハラ、グアナファトへの５日間の小旅行へと旅立つ。