アラバドの家・プレコロンビア美術館。
2015年6月3日(水)。キト。世界遺産セントロ・ヒストリコ地区。
1671年に建てられた「アラバド(称賛)の家」とよばれる邸宅を改装して、2010年に先コロンビア時代の博物館として開館した。
バルディビア、チョレーラ、ラ・トリータ、ハマ・コアケなどの諸文化5000点の考古資料を所蔵、500点を常時展示し、遺物の背景にあるアンデス世界のコスモロジーをも紹介している。
パティオ。アラバドの家・プレコロンビア美術館。
バルディビア文化。
エクアドルにおける最初の人類の痕跡はBC1万年まで遡る。その後、狩猟・採集に依拠した生活が長く続き、BC6000年頃から、ヒョウタンやトウモロコシなどの栽培化が始まり、海岸地方に位置するラスベガス遺跡が注目されている。
その次に、知られるのがバルディビア文化である。
バルディビア文化はグアヤキルの西約90km太平洋岸にあるグアヤス県およびエル・オロ県に広がった貝塚遺跡バルディビアValdiviaを標準遺跡とする文化で、BC4000年からBC1500年まで栄えたアメリカ大陸最古の土器文化とされる。サンタエレナ半島にあるレアル・アルトがアメリカ大陸で最初の集落跡とみられる。
土器の文様のうち、一部のものが九州の縄文時代前期から中期の初頭の土器、例えば曽畑式などと酷似していることで知られ、太平洋横断伝播説が唱えられたこともある。しかし、バルディビアの陶器の起源の説明について現在の主流の学説は、アマゾン地方からの伝播である。ほとんどのエクアドルの学者はアジアとの海洋交流説を否定している。
バルディビア文化。想像図。
バルディビア人は中央広場の周りに円形あるいは楕円形に家を建てて集団生活した。彼等は農業と漁業で生活する定着民であったが、時としてシカを狩った。
バルディビア文化。想像図。
漁業の様子。生業は大量の魚貝類など海産物の採集を主とし,貝製の釣針,その製作のための石鋸,石錐などの加工具,網漁に使われる石錘がある。
バルディビア文化。想像図。
遺跡からは、トウモロコシ、インゲン豆、スカッシュ(カボチャの一種)、キャッサバ、唐辛子および綿などの栽培作物の痕跡や灌漑水路跡が発見された。
バルディビア文化。想像図。
綿は衣類を作るために使われた。ラテンアメリカの中で初めて織機や織物機材を使用し布が作られた。
埋葬跡。バルディビア文化。
女性の土偶。テラコッタ製女神像。バルディビア文化。
髪飾りを被り、膨らんだ腹部と胸をあらわにし、脚を大きく広げて立つ姿は、豊穣さを祈る姿を象徴している。
祖先像。バルディビア文化。
幾何学的に人の姿を変容させた石彫の祖先像は祭壇に置かれ祭祀に使用された。
警戒を怠らない注意深い表情をして、経験に裏付けられた智慧を子孫に伝えている。
祖先像。バルディビア文化。
祖先像。バルディビア文化。
祖先像。バルディビア文化。
祖先像。バルディビア文化。
祖先像。バルディビア文化。
猿型の容器。バルディビア文化。
幾何学図形の容器。バルディビア文化。
幾何学的な立体は抽象芸術を思い起こさせ、バルディビア人たちの知性の高さを象徴しているように見える。
残念ながら土器はほとんど展示はされていなかった。
バルディビア文化以降の展示に進む。