Quantcast
Channel: いちご畑よ永遠に
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1170

ペルー リマ ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館 その3

$
0
0
 
イメージ 1
ミイラ。ワリ文化。
AD913世紀。ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館。
2015620()
ワリ文化期に死亡した45歳程度の子供のミイラ包みである。子供は包みの中に、腕や足を交差して座った状態で納められている。ミイラ包みには階段や渦巻き文様のチュニックが着せてあるほか、頭飾りから垂れた三つ編みが人間の髪で作られていりのが興味深い。
 
古代アンデスでは、古代エジプトなどと同じく、死者の身体の支度は、死者が死後の世界への旅を開始し、先祖あるいは超自然的な存在に変化するための重要なプロセスであった。
 
イメージ 2
銀の首飾り、ベルト、腕輪、指輪。北海岸。
AD1~16世紀初頭。
古代アンデスでは、金と銀は同等の重要さを持っていた。
首飾りの珠は鈴になっており、人物の動きに合わせて音を奏でた。
 
イメージ 3
銀の鼻飾り。チムー文化。
AD1416世紀初頭。
イメージ 4
 
イメージ 5
銀の耳飾り。チムー文化。
AD1416世紀初頭。
耳飾りは、それを使用する人物の地位を明確に表す装身具の一つだった。耳飾りの質や大きさ、デザインに用いられる図像が持ち主の社会的地位やアイデンティティを伝達した。
チムー文化では、ウミギク貝を集める様子や神格化された為政者あるいは先祖の姿が表され、埋葬場所である神聖な建物を示す階段文様に囲まれている。
 
イメージ 6
王冠、頭飾りなど装身具一式。ビクス文化。
BC13世紀半~AD1世紀。
王冠と胸当て。銅と金の合金。           
古代アンデスの政治的・宗教的指導層が基盤を固めたのは、形成期のことである。エリート階級の人々は、金や銅の王冠や胸当て、耳飾り、鼻飾りなどを身に着け、死のさいはこれらの装身具とともに埋葬された。

  ビクス文化の埋葬跡からは、故意に折り曲げられた王冠が発見されている。これは、これらの王冠が「生贄」として捧げられたことを示している可能性がある。埋葬された人物のアイデンティティの象徴であった装身具は、持ち主とともに「死」を迎え、埋葬された。副葬品である王冠は、死者の世界への入口を通過するさいに死を迎え、姿を変えた(折り曲げられた)のである。
 
イメージ 7
王冠、頭飾りなど装身具一式。ビクス文化。
BC13世紀半~AD1世紀。
装身具の中には、2㎏の重量を持つ胸当てのように、葬儀用に作られたものもある。
装身具は「仮面」として機能した訳ではなく、これらを身に着ける人物が、自らとは異なる身体や人格を得る役割を果たした。指導者らは、その力ゆえに特別視されていた動物に、精神的・身体的に変貌したのである。
形成期の装身具には鳥が頻繁に表現されているほか、鳥の羽、冠毛などの形をしたものが多い。これは。当時の為政者あるいは神官らが擬人化された鳥に姿を変え、神性を獲得していたことを示している。
 
イメージ 8
彫像型鼻飾り。モチェ文化。
AD18世紀。
装身具の中でも、鼻飾りは特別な存在だった。鼻飾りを装着することで、指導者らは自身の地位を明示しただけでなく、超自然的な存在に変化した。
鼻飾りは、ネコ科動物のヒゲを連想させるものや、モチェの守護神である首狩り神のシンボルを表すものもある。V字型を特徴とする首狩り神のシンボルは頭飾りにも見られる。
これらの鼻飾りの素材となった金属は、金、金と銅の合金、銀などである。2種類の金属を組み合わせた鼻飾りは、アンデス宇宙観の基本概念である二元性を具現化している。
 
イメージ 9
黄金の耳飾り。モチェ文化。
AD18世紀。
ペルーに来たスペイン人はインカ貴族をオレホス(大きな耳)とよんでいた。重くて大きい耳飾りになると、頭部にバンドを着けて保持することもあった。
モザイク状にクリソコーラ、ソーダライト、トルコ石、真珠、スポンディルス貝などが象嵌されており、支配層の広い交易範囲を示していた。
耳飾りのデザインは菱形、螺旋、イグアナ、鳥の戦士などである。また、儀礼の戦いを描いた部分もある。
 
イメージ 10
黄金の鼻飾り。ビクス文化。
BC13世紀半~AD1世紀。
金や金と銅の合金で作られたビクス文化の鼻飾りは、鼻の隔壁(軟骨)から吊り下げられた。金色や同心円のシンボルは、特に形成期の古代アンデスで多く用いられたジャガーの象徴であると考えられる。ジャガーの毛並みは、石の彫刻や土器においても同様に、同心円文様によって表現されている。
さらに南米文化の宇宙観では、ジャガーは太陽に関連付けられ、その結果、金にも結び付けられているのである。
 
イメージ 11
黄金の首飾り、胸飾り、ベルト、指輪。北海岸。
AD116世紀初頭。
古代アンデスでは、金と銀は象徴的に互いを補う存在だった。両金属とも、輝きや色を通じて二元性の概念を表現した。すなわち、金は太陽、昼、男性を、銀は月、夜、女性を象徴していた。
先コロンブス期におけるエリート層の装身具は、吊状の貴金属箔で装飾されていた。全般的に、これらの装飾は小さく繊細でありながらも、象徴的なモチーフが詳細に表現されている。
首飾りや吊状装飾、王冠、腕輪などに、人間や神の姿、ヘビやネコ科動物などの頭が認められる。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1170

Trending Articles