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古代アンデス ワリ、チムー、バラカス、ナスカなどの土器 ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館 その12

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ワリ文化の土器。
AD8世紀~13世紀。北部海岸地方。
ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館。2015620()
現在のペルー南部地域を起源とするワリ文化の芸術様式が北部に伝播し、多彩色や橋型双注口などの南部土器の特徴が北部土器に現れた。
ワリ文化土器の特徴は黒色で縁取りされた幾何学文様であり、人間や宗教的なモチーフが表現された。
羽を持つネコ科動物の獣神が双頭の蛇のベルトに蛇の耳飾りを身に付けている。
 
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ランバイエケ(シカン)文化の土器。
AD8世紀~13世紀。
北部土器の特徴である象形的な表現に、南部土器の特徴である橋型双注口の双方が融合している。
土器に表現される人物は、跳ね上がった形の目、大きな耳飾り、半月型の頭飾りなどが特徴的である。
部下を従えたこの人物は、シカン王国を創設した「ナイランプ」であるとも考えられている。シカン王国の権力者たちは「ナイランプ」の顔の特徴を備えたデスマスクとともに埋葬された。
 
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チムー文化の土器。
AD13世紀~16世紀前半。
チムー文化では、300年間続いた南部(ワリ)の影響を排した北部伝統の鐙型象形土器が復活した。また、柄と注口の角に小さな猿の像が据えられている。
チムーの権力者たちは黒色の土器を採用し、南部の特徴である多彩色や橋付双注口の土器生産を取りやめた。
チムー文化の土器は型を使って大量生産された。
今から2000年前の土器では、権威を象徴するネコ科動物が鹿を打ち負かす様子が表現されたが、チムー土器では人間が鹿を背負っており、権威の象徴が動物から人間に移行したことを示している。
 
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チムー・インカ(インカ支配下のチムー)の土器。
北部土器および南部土器双方の特徴を有していた。柄と注口の間に据えられた小像はチムー土器の特徴である。多彩色は南部土器の特徴である。また、インカの影響を受けて注口が平になっている。
橋型双注口、双胴土器はチムー・インカ土器の特徴である。ネコ科動物が最高神格として表現されている。
 
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リマ文化・ニエベリア様式の土器。
BC1世紀~AD8世紀。
ペルー中央海岸で制作されたリマ文化の土器は北部および南部海岸双方の特徴を有している。
象形土器は北部、橋型双注口および多彩色は南部の影響である。
濃いオレンジ色がリマ文化土器の特徴である。
 
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ワリ文化・中央海岸の土器。
AD8世紀~13世紀。
ウマヤ様式は、ワリ文化およびリマ文化・ニエベリア様式の融合であり、ワリ土器の幾何学模様、リマ土器の濃いオレンジ色の双方を受け継いでいる。
ワリ期から地方王国期における中央海岸の土器は、ワリの影響を受けているが、ワリ土器本来の光沢や洗練された仕上がりは見られない。初期に制作された多彩色の優れた土器は次第に色・質ともに衰えていった。
三角形の人の顔や、表面に磨きをかけないワリ中央部の様式はチャンカイ文化の土器にも表現されている。
 
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パチャカマック文化の土器。ワリ期。
AD8世紀~13世紀。
ルリン谷に位置するパチャカマック遺跡は中央海岸部で最も重要な祭祀センターであった。パチャカマックからはワリ期の質の高い土器が出土している。
土器は赤・黒・クリーム色などで、黒く縁取られたデザインは明らかにワリ文化土器の影響である。
パチャカマックの神として知られる代表的な獣神は、鷹とネコ科動物の融合した姿をしており、三角の胸当てを付けてナイフを携えている。
 
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バラカス文化の土器。ネクロポリス、集団埋葬期。
BC13世紀半~AD1世紀。
幾何学文様が通常はネガティブ技法で彩色されている。土器が色彩に乏しかった一方、色鮮やかな織物が制作された。
橋型双注口壺は、バラカスやのちのナスカ文化の土器に共通する南部土器の特徴である。
 
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ナスカ
A様式の土器。地方発展期。BC1世紀~AD8世紀。
ナスカAあるいはナスカ記念碑型土器は自然主義的かつ多色彩であり、土器全体が彩色されている。橋型双注口式の土器が最も多く、象形土器は少ない。
ナスカ土器には周囲の動植物や果実が巧みな描写力と技術をもって表現されている。
絵付けの題材は、漁師や農民のほか、狩猟や戦闘の場面などである。また、断頭された神々が表現されているほか、首級(頭のトロフィー)は頻繁に扱われたテーマである。
擬人化されたネコ科動物の神や。ネコ科動物と鳥、蛇が融合した神の姿が多くの器に表現されている。
 
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ナスカ文化の太鼓。
AD1世紀~8世紀。
蛇や魚が表現されている土器製の太鼓。太鼓は、ナスカ文化の土器の中でも特に図像の表現が豊かである。図像には、数多くの宗教的シンボルが表されている。
ナスカ文化において、太鼓やアンタラなどの楽器は豊作を願う行列や踊りのさいに使われている。
 
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ナスカ文化
B様式の土器。BC1世紀~AD8世紀。
ナスカBあるいはナスカ文様反復型土器の特徴は、人間や動物、超自然的存在などの複雑な文様を反復させて、隙間や余白を埋め尽くす「空間恐怖」の表現様式である。
様式化されたネコ科動物は前時代に引き続き神性を維持しており、蛇の頭で終わる光を放つ大きな鼻飾りや翼を身に付けている。ネコ科動物、鳥、蛇の融合はこの時代の土器にも観察される。
このほか、頻繁に表現されるモチーフは首級である。首級は非常に様式化され、3つの印のついた小さな三角形として表現されている。

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