平成28年5月18日（水）。
芥川山城は高槻市の三好山に所在した山城で、三好長慶が畿内支配の拠点とした城である。奇岩や断崖が続く摂津峡のすぐ東側の三好山は、三方を芥川に囲まれ、残る一方は断崖となっており、山そのものが難攻不落の砦となっている。
芥川山城は永正12年（1515年）に細川高国が摂津支配の強化を目指して築城し、城主に能勢頼則を配置した。永正13年(1516)連歌師柴屋軒宗長が芥川の能勢頼則の築いた新城に祝いの気持ちを込めてつくった歌が残っている。
大永6年（1526年）、細川高国による香西元盛謀殺に激怒した波多野稙通らが反乱を起こし、芥川山城を含む摂津の城々を降伏開城させた。この際に能勢氏は逃亡したと思われる。
天文2年（1533年）4月、淡路に追われていた細川晴元が芥川山城に入城し、新しい曲輪を増設、防御施設も拡充したと思われる。天文5年（1535年）に晴元は京都に移り管領に就いたが、度々芥川山城に戻り指揮をとっている。
天文16年(1547)三好長慶が城を支配。家臣、芥川孫十郎が城主となる。
天文22年(1553)長慶は入京を果たした。しかし、孫十郎が謀反したため、三好山に隣接する帯仕山に陣を構え、開城させて、孫十郎を阿波へ追放して長慶が入った。
以後、7年間、長慶は芥川山城に在城し、その間、真上・郡家の水争いや、芥川流域の灌漑用水を整備するなど、領地支配にも力を注いだほか、著名な歌人らを招いて連歌の宴を催すなど、文芸を愛した様子もうかがえる。この頃がこの山城の最も華やかで生き生きとした時代であったといえる。
永禄3年(1560)長慶は、飯盛山城(四條畷市)に移り、息子義興が城主となるが、永禄6年(1563)22歳の若さで没した。
永禄11年(1568)織田信長の側近、和田惟政が入城、翌年惟政は高槻城も与えられ、2城の主となった。惟政自身は高槻城へ入り、家臣の高山飛騨守が城主として芥川山城に入った。以後、政治の拠点はしだいに高槻城へと移っていき、元亀4（1573）年高槻城主高山右近により廃城となった。
老人ホーム（高槻黄金の里）の西側の道を２００ｍ程北上した右手に登城口がある。付近に路駐は困難との情報から付近のスーパーに駐車したが、遠い上に道に迷って時間を浪費した。
登城口から緩い坂を登ると、左は農地で地元の人から挨拶された。主郭までは一本道で迷うことはないが、遠く感じるとともに規模の大きな山城であることが分かった。
要所に標識がある。
遠くには生駒山系を望み、眼下には今城塚古墳などが残る三島平野、西国街道や芥川宿を見通すことができる位置にあったことが分かる。また、城からは亀岡へと続く間道があった。芥川を下ると水上交通の要路淀川に至る立地など、政治上・戦略上において重要な場所であった。
芥川山城の遺構は主郭・副郭・土塁・堀切という中世山城の要素を備えており、その様子が今も残っている。
三好山の山頂に位置する主郭は南北に曲輪が分かれており、南側は展望台（見張り場）、北側は三好長慶社と呼ばれる小さな祠と、御殿跡とされる広い削平地が広がる。
高槻市教育委員会によって発掘調査が行われ、礎石跡が検出され御殿的な施設が建設されていたのが確認できた。山城は通常、倉庫程度の簡単な施設が山頂に建設され、山麓に居館を建て生活の基盤としているのが常だが、住居空間も山頂に建設されているのは珍しい。また、この調査で1556年の火災跡も発見され、この施設は三好長慶時代には建設されていたことが判明している。
土師器の灯明皿など。
この先は、斜面の急な下りになり、降りてみたが、先が分からないので主郭へ引き返した。
景色が良いことに満足して、時間も遅くなったので往路を引き返す。
スーパーへ戻り、歩き疲れたので、能勢町の道の駅へ向かった。汗をかいたので、能勢温泉の立ち寄り湯へ入った。700円。