タイヤル族の口簧琴演奏。
2016年11月26日(土)。
烏来泰雅(タイヤル)民族博物館。
口簧琴。簧の音読みは「こう」で笛の舌(弁、リード)の意味。日本では口琴(こうきん、Jew's Harp)とよばれ、金属、あるいは竹、木、椰子の葉肋などを加工した弁と枠を有する楽器の一種である。
演奏者はこれを口にくわえるかまたは口にあてて固定し、その端を指で弾く。または枠に付けられた紐を引くことによって弁を振動させ、発生した小さな音を口腔内の空気に共鳴させて音を出す。
口琴の歴史は古く、世界中に広く分布しており、特に東南アジア、パプア、ユーラシア、東アジア周辺において多数見ることができる。日本においてはアイヌ民族が好んで用いる。
口琴の代表的なものとして、アイヌのムックリ、フィリピン・ミンダナオ島のクビン、台湾タイヤル族のロブ、インドのモールシン、ハンガリーのドロンブ等が挙げられる。中国と台湾では口琴というとハーモニカを指すため、口弦、嘴琴、口簧琴と呼ばれている。
口簧琴。
多くは、若い恋仲の男女が演奏し、弦を手で弾き、心情を唄う。
口簧琴。
口簧琴。
台湾原住民族全体に伝わる口簧琴の通常の弁の数は1から3であるが、タイヤル族の口簧琴には、7から8のものまであり珍しい。
口簧琴と竹笛。
竹笛は首長及び首を狩った戦士のみが演奏でき、首狩りのあとの儀式で演奏された。
祖霊祭。
踊り。隣人と交差する手のつなぎ方は台湾原住民共通のスタイル。
紋面。顔面への入れ墨。
タイヤル族は15歳から16歳になると、顔面に入れ墨を入れ始めた。男性は額と顎に2つの短く太い垂直な線を入れた。女性は頬に耳から唇までと額に入れ墨を入れた。
顎と頬に入れ墨を入れるためには、男性は首狩りの実績が、女性は畝織による織物技術がその資格となった。
タイヤル族の信仰では、紋面がなければ、死後に祖霊の世界に受け入れてもらえないと信じられた。
紋面。
紋面は日本統治時代に禁止され、70年以上前からおこなわれなくなっている。
入れ墨を入れる様子の古写真。
紋面を入れる道具。
霊媒師。
タイヤル族は災害や病気を祖霊の祟りに帰していたので、霊媒に助けを求め、その原因を占ってもらい、解決法や処理方法を求めた。
多くのタイヤル族の霊媒師は女性であったが、烏来には男性の霊媒師がいた。占いの材料は6㎝の竹の枝であった。枝の一方の端には同じ長さの麻の糸が結ばれ、陶製のビーズに繋がっていた。霊媒師はつま先で竹を挟み、ビーズを竹に押しつけて回しながら、考えられる原因を全て語る。ビーズの回転が終わった時の原因が真因と確定される。その後、同じ方法で祖霊に尋ね、問題の解決方法や患者の治療方法などを教えてもらう。
首狩りの陳列台。模型。首狩りは出早ともよばれた。
タイヤル族にとり、首狩りは祖霊の力を高めるために長い世代を通じた慣習であった。狩られた首の霊が祖霊の世界に加わることにより、首狩りをする者たちを守護すると信じられた。
超自然的な力からの祝福を獲得する手段に加え、死後に祖霊の世界に加わる保証とされた。
首狩りは現代の戦争行為とは違い、不定期的かつ小規模なものであった。
建築材料。
建築材料。標高100~200mの場所に建てられた。多くは竹が材料だが、茅や川の中州にある漂流木も使われた。
烏来の住居。
烏来の住居。模型。
烏来の住居。古写真。
望
楼。部落の入口に建てられた。攻撃に備え、夜間に男性が看視した。
望楼。模型。
10時30分から11時30分まで見学。バスでMRT新店駅へ向かい、宿泊するホテルに近い台北駅へ戻った。