2016年12月4日(日)。高雄市。
高雄市立歴史博物館の見学を終え、四合院建築と紹介されている鳳儀書院を見学するため、地下鉄の鳳山駅で下車。大通りから北の脇道に入り、東へ向かうと城隍廟があった。鳳儀書院は隣にあるというが、ここからは見えず、隣というよりも右の小道を進むと、切符売場があった。駅から徒歩5分と書いてあるが15分ほどかかった。
鳳儀書院の入場料は66元と高い。入口にいた女性職員から日本語リーフレットを貰い、入場。
鳳儀書院は、清朝時代の1814年に建設された台湾で最大の規模を誇る書院で、科挙に備える名門校の一つであった。
鳳山県には新旧二つの城があった。旧城(左営)にあった書院が林爽文事件で破壊され、新城(鳳山)に鳳儀書院が建設された。
日本統治時代には陸軍台南衛戍病院鳳山分院、鳳山郡役所宿舍などとして使用された。戦後は賃貸住宅となったが、1985年古跡に指定後、文化局が取得し、修復工事が行われ、2014年に一般公開された。
園内各所には、人形による展示が置かれている。門の全面には授業を視察に訪れた清代の鳳山県知事・曹謹一行が書院を訪問した群像が再現されている。
左奥は鳳山にあった牛市場の様子が再現されている。
頭門を越えて北に進むと、講堂(教室)がある。講堂を南としてその奥の中庭を挟んで、東西に二列に並んだ学舍(学生宿舎)があり、北中央に廳事(祭祀空間)があるという四合院建築の様式で建てられている。
書院には私塾教育を終えて童試を受ける童生と、童試に合格し郷試を受ける生員の2種類の学生が住んでいた。
清朝時代に建てられた台湾の古い書院建築には儒教と道教が融合した建築の特色があり、教育施設の空間の中に宗教建築の要素が見られる。建物は閩南様式や広東東部の建築様式が採用され、木造の小屋組みに燕尾式の屋根、赤レンガと白塗りの壁、色鮮やかな装飾が施された梁などにより、高尚で典雅な趣を感じさせる。
講堂の前面に置かれた人形は武科の練武風景を表している。清代の科挙試験には文科のほか武科試験もあり、馬騎、歩射、技勇(弓を引く、刀の演舞、石を持ち上げる)の順で屋外での試験が行われた。
改修後特別に迎えられた学問の神様である文昌帝君を祀った「文昌祠」では、おみくじを引いたり、文昌燈を灯したりしている。
当時学生宿舎だった学舍の両側は展示空間になっている。
書院の東側にはもともと36部屋の試院(試験を受ける場所)があり、鳳山県で行われる郷試(科挙の試験段階の一つ)の場所となっていた。
受験者の宿舎兼試験会場であった貢院の號舎の説明図。
20分ほど見学して、台南の国立台湾歴史博物館を見学するため、12時過ぎに出て、12時40分頃台鉄高雄駅に着いた。12時55分の列車に乗り、13時33分に台南駅に到着。