デービッド・アトキンソン氏は小西美術工藝社社長。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学で「日本学」を専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2007年に退社。
1999年に裏千家に入門、2006年に茶名「宗真」を拝受する。
2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年に同会長兼社長に就任。日本の伝統文化を守りつつ、旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界への提言を続ける。2015年から対外経済政策研究会委員、京都国際観光大使、2016年から明日の日本を支える観光ビジョン構想会議委員等を務める。
数年前に日経ビジネスオンラインで知った。
数字を重視しない経営者という弱み。日本に足りないのは「真の経営者」。
日本の仕事の進め方が効率が良くないのは、日本人労働者やビジネスマンたちに原因があるのではなく、経営者などのリーダーにある可能性が高い。
アナリスト時代の仕事は銀行分析だったが、納得のいかない働きぶりをしていたのは銀行の頭取や役員。出勤が遅く、会議は座っているだけ、午後は外出し、接待で夜の街へ消えていく。
欧米の経営者は数字を徹底的に分析する。アメリカ企業の平社員の質は悪い。日本はその逆。
日本の経営者たちが歴史上の偉人たちの生き様も自らの経営哲学の参考にしているのと同様に、銀行幹部たちも科学的ではない精神性のようなものに影響を受けている。
2000年の合併前、日本興業銀行の頭取に「興銀の役割を終わっているので、他の銀行と合併しなければ生き残れない。興銀の利益は少なく、貸出金の利鞘も少ないのに、株価がその実態を無視して高い。」と忠告した。
頭取は「この興銀の廊下の壁からこれまで日本経済を支えてきた産業界・経済界の人々のパワーが出ている。それが利益に反映されていないだけだということが、株が高い理由です。」
日本全体として考えてみると、数字に基づかない経営をしている経営者がかなりの割合でいる。
トップが数字に基づいた経営判断をすることができなければ、せっかく勤勉な労働者がいて、高い技術があってもその力が引き出されない。
その象徴がガラケーで、消費者が買いたくないような商品を作っても、メーカーとしは意味がない。
この方向付けは、技術者ではなく、経営者の仕事だ。家電、自動車などで指摘されている日本の技術開発力の問題は、日本の経営者の数字に対する関心の低さと無関係ではない。