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三重県津市 石仏の里 石山観音

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地蔵菩薩立像。石山観音。津市芸濃町。
2017517日(水)。
道の駅「津かわげ」で起床。本日は伊賀上野方面へ向かうが、その途次にある、いくつかのポイントを見学した。
730分頃、道標に導かれて、名阪国道関ICの南にある石山観音の駐車場へ到着。数十年前から名前は知っていたが、初めて来た。駐車スペースも数十台ほどあり、寂れてはいない。入口には、地図付きのリーフレットも置かれていた。
 
石山観音は、かつて京や近江地方から伊勢方面に向かう人々でにぎわった旧伊勢別街道を少し南側に入った丘陵地にあり、江戸時代の初め頃まで浄蓮坊という観音を本尊とする寺があったと伝えられているが、現在は岩肌に半肉彫りで刻まれた大小40体余りの磨崖仏を石山観音とよんでいる。

花崗岩の地層に彫られた磨崖仏は鎌倉時代末期から造られ始め、多くが観音像である。西国三十三カ所にちなんで、観音像には1から33番の番号がついている。主要な磨崖仏は地蔵菩薩立像、聖観音立像、阿弥陀如来立像の3体で、いずれも三重県指定文化財である。
 
駐車場横の公園入口を起点に比高差60mの石山を登って下る約1.5㎞にわたる巡拝コースが設けられている。番号順の順打ちを撰び、時計回りに回っていった。
石山観音公園入口正面には、地蔵菩薩立像の巨石塊が立っている。
 
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地蔵菩薩立像。
像高3.24m。右手に錫杖、左手に摩尼宝珠を持つ地蔵菩薩の姿を表す尊像で、錫杖の様式などから室町時代初期までの作といわれる。
頭部の円光と身光とを連ねてともに深く掘り込み、仏体を雨露から守る仏龕の役目をしているが、その外観が釘抜きの形をしているところから、俗に釘抜型の光背ともよばれる。
光背を深く彫りくぼめただけ仏体は奥行きが深くなり、殆ど丸彫りに近い半肉彫りとなっている。錫杖の柄の下方腹部より下が欠損しているのは風化のためで、その年月の長さを偲ばせる。
十等身に近い尊容はおだやかに笑みを湛えている。
 
山腹を一段上の歩道に出て、左へ少し歩くと、聖観音立像がある。
 
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聖観音立像。
像高2.52m。造像来歴が記録されている唯一の像で、浄蓮寺の記録に「僧覚順が嘉永元年(1848)に画工をして南都唐招提寺の聖観音を模写させ、それに倣ってこの巨巌に彫り付けたもの」と記されている。
この像は石山の諸像の中で最も新しいものの一つであるが、石質がぜい弱であるため、顔面の風化が進んでいる。
 
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観音半跏像。
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番。大正10年の造像。
馬の背という巨大な一枚岩の西斜面には10体余りの石像が斜面に張りつくように彫りこまれている。
 
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馬の背。
遊歩道を登り切ると、山頂から稜線をやや南に下った位置にある巨大な一枚岩の根元に出る。ここから下を見ると馬の背中に乗ったような感じがするため「馬の背」と呼ばれている。
ここは眺望が開け、鈴鹿の連山から安濃の平野を一望におさめ、伊勢湾も視野に入り、四季折々の展望が素晴らしい。
 
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馬の背。
首元から背中あたりまで下ることができる。東西の斜面に石像群が彫り込まれていることが確認できる。
 
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馬の背。東斜面の石像。
24番。
 
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馬の背。東斜面の石像。
25番。
 
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入口方面へ下り、案内板から脇道を進むと、谷に面した絶壁の上に阿弥陀如来立像が彫られた小広場に出る。
 
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阿弥陀如来立像。
総高は台座を含めて約5m。像高3.52m。石山観音最古最大の巨像。阿弥陀如来特有の九つの来迎印のうち、下品上生印を結んでいる。衣文や台座などの様子から鎌倉時代末期に彫刻され、その後、部分的な修復がなされたと考えられている。
釘抜型の光背を深く彫り込み、仏龕に兼用しているのは地蔵立像と同様である。
本尊は丸彫りに近い半肉彫だが、体躯は平板で着衣は通肩、衣文は柔らかい平行線を重ねる清涼寺式で、清楚な感じを与える。
 
台座は細長い単弁式の高い蓮華座を台上にのせた形で、下の框座は大きくどっしりして前に張り出しており、正面を2区に分け、各1個の香狭間を刻んでいる。
 像の胸の正面中央に小さい穴が穿たれているのは、奈良県大野の磨崖弥勒像に見られるように写経や願文を納めたものとみられる。
古くは本尊を雨露から守る木造仏龕があったらしく、光背のさらに上に水平な段を石に刻み、これを桁としてその上に6個の等間隔に並んで彫られた小孔に垂木を挿し込み、框座前の僅かに張り出した部分の左右に2本の柱を立てて軒桁を支え、これに垂木を渡して片流れの屋根を構えていたと思われる。
 
40分ほど見学して、入口に戻り、次の見学地である亀山市加太の鹿伏兎城跡へ向かった。
 

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