2017年5月17日（水）。
JR関西本線佐那具駅横からJR線路に沿った北側の道路を西に500mほど進むと説明板があった。
伊賀国庁跡は、上野盆地北東部にあり、市内北部を西流する木津川の支流・柘植川右（北）岸の段丘上に立地する。発掘調査後、遺構は埋め戻されて、大部分が水田となっている。
飛鳥・奈良時代には古東海道が近くを通っていたとされ、一帯には御墓山（みはかやま）古墳、敢国（あえくに）神社など古墳時代からの遺構が多く、古くから栄えた地域であった。
遺構についてはⅠ期からⅣ期の変遷があり、東西約41m、南北も同程度の掘立柱塀で区画された政庁域の中に、正殿・前殿・脇殿等が配される。
主要建物は、当初は掘立柱建物であったが、Ⅲ期にあたる10世紀前半から後半にかけて礎石立建物に建て替えられた。
出土した墨書土器の中に「国厨」と書かれたものがあり、また遺跡の所在地に「こくっちょ（国町）」と称する地名が残ることから、検出された建物群は伊賀国府の中枢である伊賀国庁を構成するものと考えられる。
伊賀国庁は主要な施設の配置関係がほぼ判明し、遺構の残存状況も良好である。存続時期は8世紀末から11世紀中頃であり、古代律令体制の地方浸透と、古代伊賀の政治情勢を示すうえでも貴重である。なお、伊賀国は古代律令体制では下国とされていたが、下国の国庁の実態がここまで判明したのは伊賀国庁が初めてである。
佐那具駅から柘植川の左（南）岸にわたり、旧国道25号線を東進しすぐ南へ入ると、右側に小山のような御墓山古墳が見えてくる。箱の中にリーフレットがあり、参考にして墳丘へ登った。
御墓山古墳は全長約190mの三重県最大の墳丘規模を持つ前方後円墳で、南宮山北東の丘陵先端部に位置する。後円部径約110m、高さ14m、前方部幅約80m、高さ10mで、築造時期は5世紀後半初頭と推定され、北伊賀に強大な勢力を有していた首長の墳墓とみられる。
伝承では孝元天皇の第1皇子で、敢国(あえくに)神社の祭神・大彦命(おおびこのみこと)の墳墓とされる。
御墓山古墳は柘植川流域において東山古墳（古墳時代初頭）・山神寄建神社古墳（前期）に次ぐ首長墓になるが、それまでの古墳に比べ規模が大きく飛躍する。御墓山古墳以降の首長墓は柘植川対岸に場所を移し、規模は大きく縮小する。
南宮山北東の丘陵先端部を馬蹄形に掘り、自然地形の高まりを利用しつつ盛土をして墳丘を築いたと考えられ、丘陵の先端部に前方部、丘陵側に後円部がある。
墳丘は二段築成で、前方部を北東に向ける。ただし前方部では、段築を用いて三段のように見せかけている。後円部には周溝が廻っており、北西側に造出が設けられている。
墳丘表面は葺石で覆われており、そこからは円筒埴輪・形象埴輪・家形埴輪などが見つかっている。埋葬施設に関しては、後円部墳頂の平坦面にある窪みが主体部の盗掘壙にあたると見られているが、施設構造や副葬品は明らかとなっていない。
南西近くの敢国神社へ向かう。
南宮山西北麓に位置する。主神は大彦命(おおひこのみこと)で、少彦名命(すくなひこなのみこと)、
金山比命(かなやまひめのみこと)の三神を祭る。
社伝では、斉明天皇4年（658年）の創建になるとする。これによると祭神の大彦命は四道将軍として北陸地方を平定し、その子孫は伊賀国阿拝郡一帯に居住して阿閇氏（阿部・安倍氏）を称し、大彦命を祖神として祀ったという。
また、それとは別に少彦名命を祀る秦氏一族があり、これら2柱をもって創建されたとする。創建当初は、敢國神社南方の南宮山山頂付近に祀られたが、後に現在地（南宮山山麓）に遷されたという。その後、山頂附近の社殿跡には美濃の南宮大社より勧請された金山比命が祀られたため、その山が「南宮山」と呼ばれたともいう。そして貞元2年（977年）、金山比命の社殿前の神木に言葉が現れたことにより、金山比命を敢國神社に合祀したとしている。
広い駐車場から下の舗装された参道を5分ほど歩いて、鳥居前に着いた。社殿へ登り、上の地道の参道を通って駐車場へ戻った。山の麓だけに独特の雰囲気があった。
13時頃となり、伊賀流忍者博物館の忍者ショーの時間が午後は14時からと限定されているので、伊賀上野城方面へ急いだ。