名古屋市守山区 志段味古墳群 歴史の里基本計画(案)に関するパブリックコメントについて
基本計画(案)は、志段味大塚古墳を復元し、白鳥塚古墳は立体模型をふもとに展示するというものであった。
2012年の白鳥塚古墳などの見学記は下記ブログに記した。
上記について、下記のとおり名古屋市教委へコメントを提出した。
私はここ5年間ほど、西日本各府県の古墳を約数百か所見学してきた。
古墳公園として整備されているものもあれば、国史跡指定されても所在不明のものまで、現状は様々であった。
名古屋市がようやく本腰を入れるようになったことは喜ばしいが、いくつか要望がある。
1.白鳥塚古墳の復元を望む。
全国に古墳公園があり、オンリーワンのものでなければ意味がない。
白鳥塚古墳は規模もさることながら、石英で覆われていたことが類をみない特色であり、志段味大塚古墳の復元費用を削っても、こちらを優先するべきである。志段味大塚古墳の復元程度なら全国にありふれている。
立体模型程度では笑われてしまう。どうせ費用を費やすのであれば、全国から見学客を呼べるものにしないと意味がない。
現状維持の理由を「古墳が改変を受けることなく良好な状態で残っており、すでに国史跡に指定されていることから、現状保存を基本としながら本来の価値を損なわないように配慮して整備します。」としているが、消極的である。
文化庁と交渉し、復元を説得すべきである。国史跡レベルで旧状から復元した例は神戸の五色塚古墳などを挙げられる。
2.ガイダンス施設の歴史博物館性が希薄。尾張氏との関連をもっと強調すべき。
2012年の名古屋市博物館特別展「尾張氏 志段味古墳群をときあかす」の図録レベルは紹介すべき。
尾張氏はどういう氏族で志段味古墳群とどういう関係なのか、熱田周辺の海人族の首長が庄内川流域に古墳を造成したのかなど、いまだに私には不明だが、尾張氏の奥津城で間違いないだろう。
名古屋市としては、天皇家に后妃を輩出し、壬申の乱で大功を挙げた尾張氏とは誇るべき古代豪族であり、三英傑なみに宣伝する必要がある。
余談だが、断夫山古墳、白鳥古墳の現状はおざなりであって、もっと整備すべきである。
3.関連施設・イベントもテーマ性をもってほしい。
尾張氏に特化したテーマで構成しなければ、古墳一般、埴輪一般のつまらないものになってしまう。
以上のように提出した。
どうせ無視されるのだろう。名古屋城の本丸御殿復元にくらべれば、白鳥塚古墳の復元予算など微々たるものだ。あおなみ線にSLを走らせたり、名古屋城の木造復元に比べても少額だ。
あと、今城塚古墳は停泊船をブランド・イメージとして使っているので、白鳥塚古墳の場合は「しらとり」をブランドとすれば、訴求効果があるのではないかと思う。
基本案では志段味大塚古墳周辺を「初心者ゾーン」、白鳥塚古墳周辺を「上級者ゾーン」と分称している。「初心者ゾーン」など不謹慎な用語だ。市民をバカにしている。私なら行きたくもない。「導入ゾーン」なら理解できる。
それに、この古墳群の肝は白鳥塚古墳と東谷山の古墳群にあるので、こちらは「コアゾーーン」と呼ぶべきであろう。価値評価をしないようでは話にならない。