旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。国定古跡。
2017年10月19日(木)。
台湾総督府営繕課技師の森山松之助が設計した旧・台北州庁舎(監察院)を見学後、やはり森山松之助の作品である旧台湾総督府専売局を見学するため、MRTに乗り、中正紀念堂駅で下車した。台北駅付近とは違い、財政部など静まり返った官庁街を歩くと、ロータリー南東隅に赤レンガ建築の旧・台湾総督府専売局庁舎が現れた。
1913年に3階建ての両翼オフィスが完成し、さらに3階分の高さを増した中央の尖塔は1922年に竣工した。正面妻壁の半円型ペディメントは築地本願寺本堂のそれを小さくしたように見えて印象的である。前に突き出た玄関の上にはドーム型の屋根を載せる。中央の尖塔は細くないので、バランスのとれたプロポーションになっている。
構造的には煉瓦造だが、塔屋、梁、床は鉄筋コンクリートで補強されている。
旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。
日本統治時代、台湾総督府専売局は阿片・食塩・樟脳・樟脳油・煙草・酒類などの専売事業を行い、総督府の財政を安定させた。
1901年(明治34年)6月1日、阿片を扱う台湾総督府製薬所、食塩を扱う台湾塩務局、樟脳を扱う台湾樟脳局を統合して、台湾総督府専売局が置かれた。
初代専売局長の後藤新平、2代祝辰己、3代中村是公(在職1904年7月~1906年4月、夏目漱石の親友)は、いずれも民政長官の兼務であった。
戦後、総督府専売局は、国民政府により接収されたが、その後も公売局としてアヘン以外の専売事業を継承していた。1960年代末には樟脳が専売事業から除外され、専売業務はタバコと酒のみとなったが、それも1990年代に漸次民間に開放されていった。
2002年、公売局は台湾菸酒股份有限公司として民営化され、台湾における専売事業は正式に終了し、台湾菸酒股份有限公司の本社としてそのまま利用されている。
台湾菸酒股份有限公司、国立台湾博物館、旧日本勧業銀行台北支店、旧三井物産台北支店、台湾総督府交通局鉄道部、専売局樟脳工場の6施設を複合整備し首都核心区台湾博物館として整備する計画があり、専売局は台湾産業博物館の一つとなる予定である。
旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。玄関。
さほど豪華ではない。
旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。
警官らしき守衛がいて、内部への立入りはできそうもない。
旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。ロータリーから。
マヤの鳥人というイメージが浮かび上がる。
付近路上の有刺鉄線網。
総統官邸が近くにあるらしく、テロやゲリラを警戒している様子。
旧・台湾総督府専売局庁舎(現・台湾菸酒股份有限公司本社)。南西裏側から。
重厚な威厳を保って、隙がない。
南西へ15分ほど歩き、チェックしていた国立歴史博物館へ向かう。
南海路を隔てて、赤レンガの建築をみかけたが、台北市立建国高級中学で昔の台北一中だという。建物は1909年の建築で、設計は台湾総督府営繕課技師の近藤十郎。
国立歴史博物館。
1955年に創設され、かつての河南省博物館の収蔵品を展示している。日本語のリーフレットによれば、戦後日本から返還された文物もあるという。入館料30元。
15時30分に入館し、17時頃まで見学し、ほとんどの展示品の写真も撮影した。ミニ故宮博物院ともいうべき、期待以上の美術館であった。
このあと、MRTに乗車、東門駅で下車し、「鼎泰豊」で食事した。
鼎泰豊。信義路本店。
17時30分に入店し、17時50分過ぎに出た。行列はないが、客は多い。狭い階段で4階に案内された。隣のテーブルには韓国人の男女4人がいた。
鼎泰豊。信義路本店。日本語オーダー票。
小籠包5個105元、ジャージャー麺130元。
鼎泰豊。信義路本店。日本語オーダー票。
野菜と豚肉入りワンタンスープ140元。
鼎泰豊。信義路本店。小籠包5個。
小籠包は皮5g、餡16g、合計1個21g、ひだは18ひだと決まっている。上品な肉汁は、さすがに美味かった。20年前、本場上海の有名店でも食べたが、同じぐらいに美味い。
鼎泰豊。信義路本店。ジャージャー麺。美味い。
鼎泰豊。信義路本店。野菜と豚肉入りワンタンスープ。美味い。
鼎泰豊。信義路本店。合計412.5元。料金に見合った味に満足した。
これで、16日間の台湾旅行の予定を旧・総督府などを除き消化した。
このあと、宿に帰って、預けておいたデイパックを受け取り、MRTで桃園空港へ向かい、10月20日(金)0125発、中部国際0515着のジェットスターGK92便に乗った。