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台北 国立故宮博物院 その10 中国歴代陶磁(明 洪武 永楽 宣徳)

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明代の陶磁器。国立故宮博物院。中国歴代陶磁。明。
20171014日(土)。
十四世紀末に明朝が建国されると、器物工芸に新たな領域が切り開かれた。磁器の装飾が絵画芸術と彩釉の色鮮やかな世界へと歩み始め、装飾の新しい時代を迎えた。素朴な美しさをたたえる宋や元の磁器に比べ、明の磁器は色彩重視が重要な特徴である。
 
明代宮廷の日用品は、すべて専門の機関または工房で生産されていた。腕の優れた職人を宮廷に招聘するほか、宮廷も研究と製作に全力を尽くし、図案や模様の手本を提供すると共に、莫大な財力・人力・物力によりこれを支援した。
官窯の管理制度は極めて厳しく、朝廷は役人を派遣して磁器の焼成を監督させ、新しい磁器を次々と創り出していった。元代の高低温単彩・青花・釉裏紅などの技芸の継承から、多彩・五彩・豆彩などを結合させた製作に至るまで、各様式の装飾技法を大量に応用し、斬新で生き生きとした色彩豊かな装飾時代を築き上げた。 
 
イメージ 1明 洪武 釉裏紅牡丹紋碗。13681398
元代に興った釉裏紅は景徳鎮窯で生まれた主な磁器の技法であり、透明釉の釉裏、すなわち素地面と釉との間に描かれた銅の顔料による下絵が、還元炎で紅色に呈色することから釉裏紅とよぶ。日本では辰砂(しんしゃ)ともいう。
 
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明 洪武 紅釉暗花龍紋碗。
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釉裏紅と同じ技法で、器物に色釉として使われている場合に紅釉という。
 
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明 均窯 葡萄紫渣斗式花盆。
15世紀。
渣斗は,晋の時代の唾に起源をもつ。宴会で肉の骨などを捨てる器物としても用いられた。
 
花器は「盆景(盆栽)」と「挿花(生け花)」という二種類に区別することができる。盆景器、いわゆる植木鉢は常に重厚に作られ、その多くは口縁と底が広く、方形、円形、或は多角形に作られている。赤や紫の釉薬が斑に流れ混じる鈞窯の植木鉢は、よく明代の絵画に登場する。
 
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明 永楽 祭紅暗花雙龍戯珠紋高足碗。
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明代の色釉の開発には元代より一層進展がみられた。紅釉の焼成は永楽年間に全面的に成功を収めた。当時、宮廷は紅釉で天子が天地四方を祭る郊壇の祭器を焼いたので、この紅釉は「祭紅」となずけられた。祭紅は酸化銅を発色剤とし、強化度還元焔で焼成したものである。
 
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明 永楽 青花牡丹花紋帯蓋梅瓶。
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梅瓶は口造りが小さく、丈長で、肩が丸く張り、腰は細く締め込まれた瓶。主に酒瓶として用いた。北宋初期の10世紀に創案された器形で、清代に口径の小さい器を「梅の痩骨」と称するところから梅瓶とよばれるようになった。華北の磁州窯や江南の景徳鎮窯に優品がある。
 
明代における青花磁器の製作は、洪武時期の過渡期を経て、永楽と宣徳の両時期に最盛期を迎えた後、成化に至り細緻化が進み、青花磁器は景徳鎮官窯の中心となった。胎は潔白できめ細かく、釉質は温潤で、絵付け技術も優雅で精緻である。各時期における青花磁器はそれぞれ異なる材料を使用していたため、濃淡や色合いこそ様々であるが、いずれも均一的で格調高い優雅さを漂わせており、それぞれの巧妙さを伺うことができる。
 
透明釉下彩の青花磁器は、器型、紋様ともに、新たな創作と模範的な作が大量にある。例えば、永楽、宣徳時代の天球瓶、蓋罐、高足碗、高足鍾、高足杯、龍鳳紋、詩意図、蓮托八吉祥紋、嬰戯図など、いずれも後世官窯が手本とした。
 
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明 宣徳 孔雀緑釉暗花龍紋盤。
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さまざまな色釉と釉上彩釉を大量に使用し始めたのは元代からであるが、明代初期に至りようやく一般的なものとなった。
洪武紅釉、永楽甜白、釉裡紅、緑釉、紫釉、黄釉、孔雀緑釉など、各種の色釉は、明代の官窯に新しい風潮を生じさせ、後世の五彩や豆彩誕生の基礎となった。
 
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明 宣徳 釉裡紅三果紋高足杯。官窯。
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10.4㎝、口径15.4㎝、足径4.6㎝。
外壁に鮮紅色で石榴、柿、桃の実の三果が描かれている。
 
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明 宣徳 黄釉盤。
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