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台北 国立故宮博物院 その12 中国歴代陶磁(清)

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清 康熙 素三彩黄地褐緑雙龍紋盤。
16621722
7.2㎝、口径40.5㎝、底径26㎝。
国立故宮博物院。中国歴代陶磁。
20171014日(土)。
緑、褐、白の三彩釉が使われ、緑色と褐色の雙龍が白色龍珠を奪い合う模様が描かれている。周囲は雲と火炎で覆われる。壁には梅、菊、蓮、芙蓉、牡丹、芍薬などの四季の花卉で装飾されている。
 
清代においても陶磁器生産の中心地は引き続き景徳鎮窯であった。景徳鎮の官窯は康熙20年(1681年)頃に復活する。以後、康熙(1662 - 1722年)、雍正(1723 - 1735年)、乾隆(1736 - 1795年)の3代、18世紀までが清代陶磁の最盛期であった。
 
清時代には粉彩または琺瑯彩とよばれる西洋の七宝を応用した絵付け法が開発され、磁器の器面に絵画と変わりない細密な図柄が描けるようになった。色釉も伝統的な青磁釉や黒釉に加え、さまざまな色調のものが開発された。
 
粉彩は、西洋の七宝の技法を磁器に応用したもので、石英の粉末と鉛を混ぜたものを基礎に、さまざまな色料を用いて絵画的な図様を器面に描くことができるようになった。白色についても、従来の白の素地に透明釉を掛ける方法ではなく、白色顔料による不透明な白色を得ることができるようになった。
 
琺瑯彩は、粉彩と同じ技法であるが、粉彩が整形、焼成から上絵付けまで一貫して景徳鎮で行ったものであるのに対し、琺瑯彩は景徳鎮で作った磁胎に、内務府造弁処という役所に属する琺瑯作という官営工房で絵付けを施したもので、絵付けには宮廷画家も動員され、中国絵画が磁器の器面に再現されることとなった。初期は素焼き(無釉)の磁胎の上に直接絵付けをしていたが、雍正年間では、透明釉の上に絵付けが施されている。
 
素三彩とは、素地のまま本焼きされ焼き締まった白磁胎に、黄・緑・紫などの鉛釉を使って文様を表し、低温で焼き付ける技法をいう。素焼きした素地に染付で文様を描き、その上に部分的に透明釉をかけ、本焼きしたにちに、染付部分の赤い色絵と、釉薬が掛けられなかったためビスケットのように焼き上がった部分に直接緑や黄色の色絵で文様を描いて完成させる。
黒や白の地に、緑・黄・紫の三色で花鳥などの絵を描いたものが多い。
 
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清 康熙 素三彩花果紋盤。
16621722。高4.6㎝、口径24.7㎝、底径16.4㎝。
描かれている石榴は多子多孫の象徴である。暗紋として五爪龍が隠されているのは皇室用であることを表す。
 
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清 康熙 素三彩黄地花蝶紋瓶。
16621722
 
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清 康熙 宜興胎琺瑯彩花卉紋把壺。
16621722
器高6.9cm,口径 6.0cm,足径 6.5cm,蓋を含めた器高9.3cm。
 
明・清時代の、景徳鎮以外の窯で特筆すべきものとしては宜興窯と徳化窯が挙げられる。江蘇省の宜興窯は煎茶器を焼く窯として著名で、朱泥、紫泥などの無釉の焼き締め陶器を製作している。
 
いわゆるティーポットである。壺の本体は四本の縦溝が入った瓜の形をしており、口は円形で、弧を描いた取っ手と短い注ぎ口が付いている。蓋の周りは四枚の巻いた蓮の花弁を象り、頂部には通気孔の開いた丸いつまみが付いている。
壺本体は縦溝が四つの面を作り、うち二面には桃の実、桃の花、庚申薔薇(コウシンバラ)が描かれ、もう二面は注ぎ口の周りに折枝の庚申薔薇があしらわれている。壺全体に透明釉薬が施されており、内側は紫砂の素地となっている。
底に「康熙御製」の楷書四文字が黄色い顔料で書かれ、海棠の形をした黄色と白の二重線で囲まれている。その二重線の内側に琺瑯透明釉薬は施されていない。
 
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康熙宜興胎琺瑯五彩四季花卉紋蓋碗。16621722
器高5.9cm,口径11.0cm,足径4.0cm,蓋を含めた器高8.0cm
蓋碗は広口、胴はやや上広がりで高台は低く、蓋が付いている。胴の外側には牡丹、庚申薔薇、野菊、菊、山茶花などの四季の花々が描かれ、蓋の表にも庚申薔薇、蓮花、菊、梅などが装飾されている。
また、器の内側と蓋の裏側にはそれぞれ庚申薔薇と蓮花が一輪ずつ描かれ、蓋の表以外の装飾文様にはすべて琺瑯透明釉が施され、器内、碗と蓋の口部と高台に釉薬は掛けられていない。
碗の底の紫砂素地には黄色の顔料で「康熙御製」の楷書四文字が二行で書かれ、太さの違う二重線で囲まれている。二重線外側の隙間には琺瑯透明釉が掛けられている。
 
康熙帝御用の宜興胎琺瑯彩茶器はすべて宜興で焼成、精選され、清宮の造弁処に送られた後、宮廷画家がこれらに琺瑯質の顔料で絵付けし、低温で焼成された。
 
官窯の宜興胎画琺瑯の製作は康熙時代一代限りだったため、その数は極めて少なく、大変貴重である。宜興胎琺瑯彩の茶器は、胴の内側には透明釉を掛けず、外側に透明釉を施すものとそうでないものがある。本品は『陳設档』に記載されている「宜興胎画琺瑯五彩四季花卉蓋碗、伍(五)対」の一つであり、今に伝わる計19点の宜興胎画琺瑯器のうち蓋碗が11点占めることからも、宮廷では蓋碗が好んで使われていたことがうかがえる。
 
現在、これら19点の作品はすべて国立故宮博物院に収蔵されており、うち一点が水差しとして使われていた小さめの提梁壷(提げ手の付いた壷)であるほかは、すべて茶器である。これらの美しく絵付けされた宜興胎画琺瑯の茶器は、康熙帝が一手に創設した王室の科学院-造弁処における試作成功品であり、雍正帝と乾隆帝にも大切にされてきた。清代にのみ作られ、国外に流出したものはたったの一点もなく、更にその数が汝窯の21点よりも少ないことから、宜興胎画琺瑯器は陶磁器史上、最も珍しく貴重な器物の一つと言えよう。
 
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清 乾隆 粉彩蟠桃天球瓶。
17361795。高51.1.
蟠桃は西王母の住む崑崙山にある桃(桃の木、または桃の実)の名称。三千年に一度だけ実を結ぶとされ、食すと不老長生が得られるという。
天球瓶は球状の胴にやや先細りの長い頚の付いた瓶で、球形の腹がふくらんだ器が天上の星球に似ていることから名づけられた。
開花した桃の花と九つの桃の実が首から腹にかけて器身全体に這うように描かれている。
 
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転心瓶。
乾隆帝の時代にしか造られなかった特殊な技法の回転する瓶。内壁が回転する二重構造を成した瓶で、四つの部品から構成されている。
上方のパーツと下方のパーツを固着せずに組み合わせられ、内層の瓶と外層の瓶が首と胴部でいずれも回転するように設計されている。
転心瓶は筒状の内壁を回転させることができ、その壁面に描かれた図柄を透かし彫りの隙間から鑑賞する。
 
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清 乾隆 粉彩鏤空雲龍紋転心冠架。
17361795。高31.8㎝、盤径17.2㎝。
神業とも呼ばれる透かし彫りの回転瓶が組み合わされている。冠架は冠を架けるための台座のこと。
全体は五つの部分で構成されている。最上層は球形の香薫で、雙龍球戯紋と雲紋が透かし彫りされている。雙龍は一つは紅、一つは黒で金彩で描かれている。香薫の頂上には小さい蓋がつく。
内層の承柱は高足盤に形が似ており、金彩で蓮弁が描かれている。中層も透かし彫りの回転瓶で菊花蝴蝶紋が描かれている。底部は盤狀になっており,黄錦地で洋菊の花卉が描かれている。

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